「タケ。おはよう!今日はロードバイクで行くから少し早めに準備してほしい」
「うー…おはよ…わかった…」



ひまわりに落ちる 08


週が明けて月曜日。
今日は杏寿郎がロードバイクで通勤するというので2人歩いて駅まで向かう。

「今日も一日気をつけていってくるんだそ!」
「杏寿郎も行ってらっしゃい。」

駅前で分かれ、満員電車に乗り、会社へ向かう。ああ。ロードバイクに乗る後ろ姿もかっこいい。
出社後すぐ、自分のデスクのパソコンを起動させ、始業準備をしていると先輩が出社してきた。

「おはよーマツちゃん。金曜日は参加してくれてありがとうね。あの後無事に帰れた?」
「先輩おはようございます。一応帰れたって言えば帰れたんですけど…」
「んんん?なんか意味深だねぇ。何があったかお姉さんに教えてごらんなさい」
「結論から言うと彼氏ができました」
「えええ?!!うそ?!おめでとう!」
「先輩っ!声!声大きい!!」

周りの人達の視線が一気にこっちに向く。
少し気まずくなり、こそこそ話をする。

「んで、相手は誰?この前の参加者?それとも…例の片思いの相手?」
「はい…そうなんです」
「ちょっと!詳しく聞きたいんだけどもう始業だし…ランチミーティングねこの案件は!」

朝礼が始まり、仕事がスタート。
届いたメールや伝票を捌いていく。
集中してやってたらいつのまにかお昼休みになっていた。

先輩に連れ出され、会社近くの公園のベンチに座り、お弁当の蓋を開ける。
瑠火さんが作ってくれたお弁当だ。

「んで、片思いの人とどうなったの?」
「実はあの合コンの後ですね……」

合コンの後のやり取り、それぞれの両親に報告したことを先輩に話す。

「なるほど。あの後そんな事があったのね。」
「はい。そうなんです。」

返事をしてご飯を一口食べる。鮭と枝豆の混ぜご飯。美味しいなぁ。

「でもマツちゃんのそう言う話が聞けて私は嬉しいよ。本当におめでとう。」
「ありがとうございます。」
「2人は付き合い始めた訳だけど、もうチューとかしたの?」

飲んでたお茶を吹き出しそうになる。

「せ…先輩何言ってんですか?!」
「いや、だってお互い好きで、付き合い始めたんだし…大人なんだからチューの一つや二つしてるんじゃないの?」

顔が赤くなってるのが自分でもわかる。
何も言えない。
キスなんてまだしてない。ってか付き合い始めてすぐにするものなのだろうか…


午後からの仕事は全く使い物にならなかった。集中しないと。
だけど頭の中を占めるのはこの事だけ。


『早く、杏寿郎に、会いたい。』




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