12.



その日は一睡もできずに朝を迎えた。
テレビも付けず、ただソファに座ってぼーっとしていた。


そういえば、先生方から連絡が来てたな…


スマホを取り、メッセージアプリを開く。

松田くんから【今日の葬式の時間と場所はここ】と一緒に警察署内で掲示されてるであろう書面の写真が添付されてきていた。

胡蝶先生からは【ちゃんとおうちに帰れたかしら?1週間、しっかり体調整えてね。】

不死川先生からは【無理すんな。何かあったらすぐに呼べ。すぐに向かう】


返信しないといけないのに、返信する気にならなくて既読スルーしてしまう。



今日は、研二の、お葬式だ。



シャワー浴びてからクローゼットから喪服を引っ張り出し、クマが濃く出てる顔にメイクをする。
鏡に映る自分の首元に光るネックレスが目に入った。




ーーーー「どう?気に入ってくれた?」
ーーーー「何でこれ気になってるって知ってたの…?」
ーーーー「そりゃ彼氏ですから?雑誌を読んでるタケの姿を後ろから観察してたら少し先進んだらまたそのページに戻っての繰り返してたからさ」



誕生日に行った温泉でのやりとりを思い出す。あの時はこんなことになるなんて思ってなかった。
そんな思い出のネックレスを外し、代わりにパールのものをつける。

白いハンカチ、リップ、帛紗を鞄に入れ、家を出た。




ーーーーーー



葬式会場に着いて受付をすませる。
お焼香をあげ、手を合わせてから正面を見る。
祭壇の中心には警察の正装で写ってる研二の写真。

「タケ…」
「松田くん…昨日ぶりだね」
「そうだな…」
「やっぱり、お棺とかないんだね」
「あの後またしっかり現場検証をして、見つかったものを集めたら…あんなに小さくなっちまった…」

私たちの視線の先にあるのは、骨壺。


「顔すら見ることもできなかったね」
「ああ…」
「本当に、居なくなっちゃったんだね」


そのあと松田くんと2人で研二のご家族にご挨拶をした。
タケさん、研二と付き合ってくれてありがとう。あの子も幸せだったはずよ、とお母さまに言われて「私も幸せをたくさんもらいました」と答えた。


ご挨拶の後、研二へ本当に最期のお別れをして斎場のロビーに松田くんと一緒に出た。


「ゼロに諸伏…お前ら、来れたのか…?」
「松田……萩原は…」
「家族がまだ中にいるから、まだ入れるはず…」
「そうか…行ってくる…」


降谷くんと諸伏くん、特殊な部署に配属された影響か、最近なかなか連絡取れないって研二が言ってたよね…


「タケ。お前本当に大丈夫か?」
「大丈夫では、ないかな…」
「いや、そういうことじゃなくて…」
「…そろそろ帰るね。あのお二人にもよろしく伝えといて…」


そのあと私はタクシーを探すため、歩き始めた。



_________



中に入っていってた2人が戻ってきた。


「さっき松田の隣にいたのってタケさんだろ?」
「ああ…」
「相当参ってるだろうな…」
「多分、タケ、ハギが死んだって受け入れてないんじゃねーかな…」
「松田にゼロ、彼女のこと、気にかけてた方がよさそうだね…」







12. deeper




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