14.
家を出て向かった先
「マツ先生、休みなのになぜここに…?」
「突然のお休みすみません。ありがとうございます。やり残した用具の請求あった気がして心配になっちゃってちょっと来ちゃいました」
「………それはもう済ませてある」
「え、あ、そうなんですね…あはは…」
「マツ先生。戻ってきたらしっかり働いてもらうから、今はゆっくりしときなさい」
鱗滝さんに心配かけさせてしまった。
「はい…失礼しました…帰ります…」
「ああ。気をつけて」
事務室を後にし、でも帰る気になれずに向かった先は生徒立入禁止の屋上。
先生たちがちょっと休憩できるような庭園がある。そしてこの時間はみんな授業でいないことを私は知っている。
でも見つかったらめんどくさいことになりそうなので、庭園とは反対の、室外機やタンクが置いてあるところを通り抜け、端の方までやってきた。
「ここ、あのマンションの方角なんだ…」
ワンフロアが黒くなってる建物が頭までの高さのフェンス越しに見える。
あそこで研二は殉職した。
死んだ。
「うそよぉ…生きてるよぉ…」
でも突きつけられた現実。
葬儀場
骨壺
泣いて悲しむ研二のご家族
「ここには、いないんだ…」
もう二度と声が聞けない。
そんなの、たえられない。
「……わたしも、すぐに研二のところに、いくからね…」
フェンスに少し震える手をかけ、足を隙間にいれ、そこを軸にして身体を上げる。
カシャン、カシャン、とフェンスから音がなる。
呼吸が速くなる。
目を閉じて、深呼吸。
頭から前に落ち……
「オイ、テメェ何してやがる!!!!!」
私が感じたのは痛覚じゃなかった。
14. despair
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