18.
研二のお葬式から3日。
『明日、少し時間取れねえか?』という松田くんからのメッセージに了承の返信をしたのが昨日のこと。
待ち合わせで指定されたのは私の家の最寄駅。
「おぅ、待たせたな」
「私もちょうど来たところ」
「なら、行くか」
松田くんは改札とは反対に歩き始めた。
「松田くん、改札は反対だよ…」
「あー、今日は車だ」
「車?」
松田くんの車は駅の近くのコインパーキングに停められていた。
助手席に座り、車が向かった先は、お寺。
「こっちだ」
トランクから花束を取り出して歩き始めた松田くんの後についていく。
「ここだ」
そこにあったのは【萩原家之墓】と書かれた墓石だった。
ライターをかりてお線香をあげ、手を合わす。
(この前は夢に出てきてくれてありがとう。ちゃんと同期には伝言を伝えるから安心してね。大好きだよ)
そして、お線香の横にはタバコも一本火を付けておいた。
「連れてきてくれてありがとう。ここなら私も1人で来れそう」
「行きたくなったら俺を使えよ」
お参りをして立ち寄ったのは近くにあるファミレス。
「んで、タケはちゃんとハギとお別れできたのか?」
「どういうこと?」
「葬式の日まで、ろくに泣いたりしてなかっただろ?心ここに在らず、って言うかまだ受け入れられなかったっていうか…ゼロや諸伏も心配してるんだぜ?お前のこと」
「そうだったんだね。心配かけてごめんなさい」
「謝ることはねぇよ」
「実は…」と私は松田くんに学校の屋上から飛び降りようとしたこと、同僚の先生に助けてもらってその時に泣いたこと、泣き疲れてそのまま眠ってしまったことを話した。
「マジかよ…てかホント生きててよかったぜ…その助けてくれた同僚に感謝だな」
「そしてね、眠ってる時に研二が出てきて“同期のみんな”に伝言を預かったの」
「は?伝言?」
「“ヨボヨボのじーさんになって天寿を全うするまでこっちくるんじゃねーぞ”って」
「……なんだよ、それ…」
「みんなに長生きしてほしいんだよ。それぞれにちゃんと伝えたいんだけど、みんなに連絡とっても大丈夫かな?」
「あー、いや、ゼロや諸伏は最近全く連絡取れなくて、どこにいるのかもわからねぇ…伊達班長ならすぐに会えると思うが…」
「そうなのね。なら降谷くんと諸伏くんにはメッセージで送ろうかな」
「それがいいと思うぜ」
お会計を済ませて店の外に出る。
「俺、一服してくるから先に車戻ってエンジンかけててくれ」
「はーい」
鍵を受け取り、車のエンジンをかけ、助手席にすわる。
そしてスマホをチェックすると新着メッセージのお知らせが来ていた。
「不死川先生だ…」
タップして内容を確認する。
『その後の体調はどうだ?少しは良くなったか?もし必要なものなどあれば買ってくるから連絡を』
『不死川先生、ご連絡ありがとうございます。体調はあの時よりは幾分マシになりました。買い物などもちょこちょこ行ってるのでお気持ちだけいただきます。』
あの日以来学校に行ってないから先生とも会ってない。
なにかお礼をお渡しした方がいいかもしれないな…
送信ボタンを押し、カバンにスマホを入れる。
「悪りぃ。待たせたな。そろそろ行くか」
「お願いします」
するとすぐにまたスマホが震えた。
運転中に私ばかりスマホ見てごめん、と一言言うと、ンなこと気にしてねーよと言われたのでスマホを確認する。
送信者は、不死川先生。
『体調マシになったならよかった。また何かあったら連絡するように』
「不死川って誰だよ?」
「学校の先生だよ。さっき話した屋上で引っ張ってくれたのが不死川先生。色々と気にかけてくれてて、お礼しないとって思ってるの」
「……ふーーん……」
「何その反応」
「べつにぃ〜」
「今日は連れてってくれてありがとう」
「おーよ」
「松田くんは…死なないでね」
「俺は警視総監をブン殴るまで死なねーよ」
「そんなこと言ってたら自分が警視総監になるかもね」
「俺よりゼロがなるかもな」
「なりそうー!」
話してたらあっという間にマンションについた。
松田くんを見送り、部屋の中に入った。
18. chat
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