19.




「長期でお休みいただきましてありがとうございます。また今日からよろしくお願いします」
「ああ。よろしく頼む」




今日から仕事が始まる。

残りの休みは菓子折りを買いに行った以外ずっと家にいた。
研二のものを片付けないとと思ったけど、しばらくはそのままにしておくことにした。
寝る時は研二のシャツを抱いて寝た。








「マツ先生。おかえりなさい〜」
「カナエ先生!連絡くださってたのに返信できなくてすみませんでした…!」
「いいのよ、気にしないで〜!…大変だったわね…」
「はい…でも、今日から気持ち切り替えて頑張りますね!」



途中で会ったカナエ先生に挨拶し、職員室に入る。



「おー、タケ先生。久しぶりじゃん!」
「今日から復帰します!よろしくお願いします。これ、皆さんでお召し上がりください」
「マジで?サンキュー!ここの店の菓子美味いよな!」
「美味しいですよね。ぜひ食べてください」



それでは、と宇髄先生から離れて不死川先生をそれとなく探すけど、見当たらない。


また出直すかな…


職員室を後にして事務室に戻る途中、探していた不死川先生を見かけて声をかけた。


「不死川先生!!」
「今日からだったんだなァ。ゆっくり休めたかァ?」
「その節は本当にありがとうございました。これ、この前お借りしてたベストです」


紙袋に入ったクリーニングされたベストを渡す。

「クリーニングまでしてくれたのかよ…悪かったなァ」
「結構土埃ついてたので…」
「ん?これは…?」

紙袋の中にはベストと後もう一つ。

「あ、あと、一緒にお菓子も入れてます…甘いものが好きってこの前の飲み会で聞いたので…」
「ありがとうなァ…もう無理は、してねェか?」
「…はい。少しずつ気持ちの整理をつけていこうと思います」
「そうか。また何かあれば頼れよォ…」
「え?」
「じゃあまた。ホームルームに行かねェと」



肩をポンとたたかれ、そのまま不死川先生は教室に向かっていった。










19. gift




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