20.




「付き合ってもらってごめんね…」
「別に構わねーよ。伊達班長も遅れてくるって言ってたし」



職場復帰して数日後。
研二の言葉を伝えるために伊達くんに会えることとなった。



そして一緒に着いてきてくれた松田くん。



「そーいえば、ゼロと諸伏には伝えられたのか?」
「一度2人に電話したけど繋がらなくて…メッセージをそれぞれに送ったよ。返信は特にないんだけどね…」
「ま、しゃーねーな。俺もあいつらどこで何しているかわかんねーくらいだし」




「2人とも、待たせてすまねえ!」
「おせーよ、班長」
「忙しいところ来てくれてありがとうございます」
「かまわねぇよ。タケさん、葬式以来だったが…大丈夫か?」
「まあ…仕事とかして気を紛らわせてますけど、あの頃よりは良くなったと思います」
「俺がちょいちょい気にしてやってるからな。良くなったって言ってくれねーと困るんだけど」
「へぇ。松田がねぇ…んで、今日はなんかだったか?伝えたい事があるって…」


「実は…」と私は伊達くんに夢の中で研二が言ってたことを話した。


「ははっ…そうかよ……ヨボヨボのじーさんになるまでか…」
「はい…それを伝えたくてお呼び出ししました…」
「ありがとうな。タケさんも辛い中伝えてくれて本当にありがとう…」
「いいえ、これが研二の願いでしたから」



少ししんみりしてしまったけど、ちゃんと伝えられてよかった。


先に出て行った伊達くんを見送り、残りの飲み物を飲んで松田くんと2人で店を後にした。



「これでハギの伝言も伝え終わってよかったな」
「うん。そうだね」




夜の繁華街を並んで歩く。
金曜日だからか、いつもより周りを歩く人が多い。



「松田くんは、大丈夫?」
「んあ?なにが?」
「その…研二がいなくなって…」


突拍子もない質問だったのだろう。
目の前の彼は一瞬ポカンとしたがその後すぐに言葉が返ってきた。


「大丈夫って言われたら大丈夫じゃねぇかもな。でも俺もいつハギと同じようになるかわからねーし……まあ、覚悟はできてる」
「松田くんはちゃんと長生きしてね…」
「タケ がそういうなら、頑張って生きねーとな。ほら、送っていくから帰るぞ」





神様、お願いです。



彼らが怪我することなく、

誰も欠けることなく、

職務を全うできますように。





半歩先を歩く松田くんの横顔をチラッと見ながら、私は心の中でそう願った。



20. complete




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