本部OPと二宮さん



「次の地区担当が来たら引き継ぎして、上がってもらっていいよ」

マイク越しに防衛任務に当たっていた隊員に、任務の終わりを告げた。お疲れと挨拶が交わされるのを聞きながらふぅとひとつ息を吐く。
後は報告書まとめたら私の仕事も終わりだ、とマイクの電源を落として椅子にもたれかかり、ぐっと背を伸ばすとポキポキ、という小気味の良い音が鳴り少し体が楽になった気がする。さて、あと少し頑張るか。

カタカタとキーボードを打ちながら報告書をまとめてるとウィンっと後ろの自動ドアが開く音がした。

「おい、まだ終わらないのか」
「あっ、二宮、もうちょっと、」

入ってきたのは先ほどの防衛任務に着いていた二宮だった。二宮は長い足でデスクまで来ると画面を覗き込んでくる。
来るの早くない?と不貞腐れて言うと、お前が遅いんだと頭を小突かれたついでに、ここ間違ってると骨張っているけど長くて綺麗な指で誤字を指す。

「あっ、ほんとだ、もう、二宮が焦らせるから…」
「ゆっくりでいいから早くやれ」
「えぇ…矛盾してる……」

早くやれと言う割に隣の椅子に座って、鞄から小難しそうな本を取りだして読み始めた二宮は案外待ってくれるらしい。
なぜ二宮が迎えにきたかというと、今日はこの後は久しぶりに2人で焼肉なのだ。二宮はあまり急かさないものの、私のお腹の虫はぐぅ、と鳴いてキーボードを叩くのを急かしてくる。
そのあと十数分キーボードをカタカタと叩き、軽く確認して最後にエンターキーを押した。


「送信、っと…よし!終わった〜!」
「やっとか、さっさと行くぞ」

読んでいた本を閉じて立ち上がった二宮がスタスタとドアの方に向かう。
ちょっとまって!5分!いや、3分!と慌ててPCの電源を落とし、ドタバタと帰る用意をし始めた私を二宮は何も言わずにドア近くの壁に背を預けて待っていた。

用意ができて二宮の方に視線を向ける。少し俯き加減で憂いを帯びた表情の二宮は、まるで映画のワンシーンのようで、心臓がドキッと音を立てた。
やっぱり顔整ってるな…と一人でまじまじと二宮の顔を見ているとそれに気付いた二宮が、珍しくふっと口角をあげた。

「なんだ、見惚れたか?」
「な、そそ、そんなんじゃないし!馬鹿言ってないで行くよ!」
「待たせたのはなまえだろうが」

図星を突かれ、悔しくなって二宮の背中をグイグイと押す。ここからじゃ二宮の背中しか見えないけど、声はなんだか楽しそうで。悔しいけど楽しそうな二宮の姿が嬉しかった。鳩原ちゃんのあの一件があってから、少しだけ元気がなさそうに見えていたから。

少し前を歩いていた二宮の隣に並んで、彼の腕を掴む。

「よーし、今日はいっぱい食べるぞー」
「食い過ぎるとまた太るぞ」
「またって何、またって。失礼だな!」