分かったつもり
彼はきっと彼の全ては私に見せてくれないだろうという予感と、彼が私の全てを理解することはないだろうという確信と、二人寄り添って座るソファから見えた容赦のない夕陽に、決定的に一人にさせられた寂しさをその純度のまま、隣で手を繋いだ彼に伝えることが不可能だと分かった時のこの世の終わりのようなやるせなさと、あとはデートの帰りの電車でどうしようもなく虚しくなる気持ちを、共感は出来ても共有は出来ないのだというほんの少しの諦めの、そういう事の原因の全てがあなたで、だから私はあなたのことをとても憎たらしいと思っているけれど、同時に何よりも愛しているのだ、と伝えたら彼はたった一言、分かるよ、と子供をあやす大人のような顔で言うものだから私は気でも触れて頭が変になりそうだ。