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繊細な彫刻に命を吹き込んだような、細く長く伸びた睫毛が音もなく伏せられる。カーテンの隙間を縫って射し込んだ光で白く照らされたなめらかな肌の上に、伏せられた睫毛の影が一本一本、くっきりと染み込んでいく。その下で潤んだ瞳はゆらゆらと揺れて、淡くぼやけた光の中に世界を映し出す。薄い唇はキスを落とされることだけが仕事だとでも言いたげに、ほんのりと桃色に色付いて王子様が来るのを待っていた。閉めそびれた窓からそっと風が吹き込んで、彼女の絹より艶やかな髪を弄んでいく。それが頬にかかって顔を隠してしまうのが嫌で、気付かれないように髪を耳にかける。そうしている間に彼女が動作の真意を探るように顔を上げるので、気持ちを悟られない程度の穏やかな声で答えてやるのだ。「誰かに見せるのも惜しいと思って」