17

 “コンバット”での勝利をもぎ取ったルフィ。ただそれがギリギリでの戦いであったことには違いなく、決着の後、安心したように意識を失った。
 それに気づいてルフィの傍らに移動したわたしは、倒れる彼の身体を支えた。

「お疲れさま、船長」

 もう意識を失ってしまってはいたけれど、その表情は何となく明るいように見えた。
 そのままルフィを担ぎ上げ、客席が崩落したためすでに別の場所に避難していた仲間の元へと急ぐ。意識を失っただけではあっても、重症であることもまた違いない。早くチョッパーに診てもらった方がいい。

「ヨウ!ルフィ大丈夫か?!医者ー!っておれだ!!」
「うん、疲労と安心とで意識を失ってるだけだとは思うけど。だからチョッパー先生、お願いね」
「あァ任せとけ!」

 急いで処置の準備を始めた頼もしいチョッパーの傍らにルフィを降ろし、わたしはその側を離れて様子を伺っていたウソップの横に並んだ。実は話したいこともある。

「は〜あ、どいつもこいつもハラハラさせやがってコノヤロー!!」
「ふふ。ああ、そうだウソップ。この後ゲームの事後処理終わったら、トンジットさんのところ行くよね?」
「あ?あァ、そりゃァこのゲーム受けたのだってそれなりにはあのおっさん関係してんだし、それにチョッパーもあのウマのこと気にしてたから行くだろうなァ。でもそれがどうかしたか?」
「うん、実は観戦しながら考えてたんだけど、わたしトンジットさんの村がある島まで行って、村の人にトンジットさんのこと話して来ようと思ってるんだ」
「は?」

 そう、実はずっと考えてはいたんだ。
 もし可能なら、トンジットさん達を連れて行ってあげられるのが一番良いには決まっている。ただ、それはわたし一人では出来る事ではない。
 でも、わたし一人なら行けないことはない。

「わたしが海の上を歩けるって話は出会った頃したでしょ?だから時間さえもらえれば、わたしなら今トンジットさんの村がある島まで行って来られると思うんだ」
「え?あァそうか」
「うん。シェリーのケガが治って移動できるようになっても、向こうの村も三年に一度は移動するから、やっぱり会えるまではまた何年もかかるでしょ?やっぱりそれって寂しいよね…。でも、もしわたしがトンジットさん達のことを伝えれば、少しは何か良くなるかもしれない」

 例えばトンジットさん達の到着を待ってくれるかもしれない。例えば島を戻ってくれるかもしれない。
 もちろん、遊牧をするにも理由があるだろうし労力もいることだから、そう上手い話になるとは限らないけれど、でも何も知らないよりは良いとは思う。
 だって、彼らは共に暮らしてきた仲間なんだから。

「もう試合も片づいたことだし、この後のことはわたしがいなくても問題ないだろうから、今からもう行っちゃいたんだ」
「今?ルフィが起きてからでもいいんじゃねェか?」
「うーん、でもルフィが起きてからみんなに事情話して、それから海渡って話して戻ってってなると結構かかっちゃいそうかなって」
「まーそう言われりゃそうかもしんねェけど」
「ウソップならトンジットさんのことも知ってるし、説明任せられるのはウソップだけなんだよ。お願いできない?」
「おれだけ?」
「そう、ウソップだけ」
「…そうか、おれ様だけか!おお、どーんとこのキャプテーンウソップに任せろ!」

 ドンと胸を叩き、その高い鼻をさらに持ち上げてそう言ったウソップにお礼を述べ、ただしトンジットさん本人にはまだ事情は話さないで欲しい旨だけ伝えてその場を静かに離れた。


「では、よろしくお願いします」
「はい」

 なんとなく面影のある表情で丁寧に頭を下げる彼に笑顔で答え、わたしは海の方へと向かった。

 村は予定通り、三つ先の島に滞在していた。村に到着してたまたま話しかけた男性がトンジットさんの息子さんで、彼に事情を伝えればトンジットさんの無事をとても喜んでいた。まあ、突然いなくなってしまった家族が無事だったのだから、当然と言えば当然の反応なのかもしれない。
 その後村の仲間にも話をするので少し待って欲しいと言われ、出してもらったお茶を手にしばらくシェリーによく似たウーマ達を眺めて待っていると、彼はその村の長を連れて戻ってきた。
 その長も交えての話を聞くと、やはり遊牧民というだけあり、三年以上同じ島に村ごと滞在するというのは難しいらしい。それはそうだろう。超過滞在で家畜が島の草を食い尽くしてしまったら、今困るだけでなく、今後の生活にも影響を与えてしまう。何かの組織のトップというのは、その組織全体の今、そして今後を考えるのが役割だ。その判断は正しい。
 そこまで聞いたところで、わたしはやはりトンジットさんにはまだ伝えないように頼んで正解だったと胸の内で思っていた。やはりどうしようもない事情というのはある。たとえば遊牧民が生きる場所を変えねばならないような。もし先にトンジットさんに伝えて期待させれば、逆に彼を傷つけてしまうことになってしまっただろう。
 わたしは噛み殺すように溜め息を吐いた。が、話にはまだ続きがあった。確かに超過滞在で村ごとこの島に残ったり、村ごと前の島に引き返したりすることは難しい。ただそれは村ごとである場合であって、少人数なら可能なのだ。つまり村の本体はこのまま三年ごとの島移動を続けるが、その中の何人かは別行動をとり島を逆走、トンジットさんと合流の後、共に村へと向かうということになったと。
 とても、素晴らしい案だと思った。細かいことはこれから決めていくということだが、とにかく当初よりは、トンジットさん達が孤独でなければならない時間は減ったのだ。
 孤独というのは、ツライ。気長に待つとトンジットさんは笑ってはいたけれど、本音ではやはり家族や仲間と共にありたくないはずはない。すぐに解決させるようなことはしてあげられなかったけれど、伝えたことで少しは状況が良くはなった。
 ああ、良かった。本当に。

 トンジットさんにこの旨を伝えることを引き受け、わたしは渡ってきた海岸まで戻ってきた。
 良い報告ができると、行きよりも遥かに暖かい気持ちでチャクラを練ろうとした。
 その時だった。

「え、」

 海の異変に気付いて海岸から勢いよく距離をとる。
 わたしがこれから向かおうとした方向から、何かが襲いかかってくるかのように、海が姿を変えて迫ってくる。
 いつでも応対できるように神経を研ぎ澄ませて待つ。が、どうも様子は少しおかしい。

「…凍ってる」

 わたしに対する何らかの攻撃、というわけではないらしい。ただただ、海面が凍っていた。…いくら“偉大なる航路グランドライン”と言えど、ここは気候が安定している島の中。これが自然に起きたという可能性は低い。むしろ何者かによって起こされた、と考える方が妥当だろう。
 つまり、海をも凍らせることができるような、レベルの高い能力者がこの近くにいる?
 とにかく、そのことにルフィ達が関係ないと言い切ることなど、これっぽっちもできなかった。嫌な予感ほど当たるものだ。

「戻らなきゃ」

 幸か不幸か、この海ならば全力で走れる。
 ざわざわする心を落ち着かせるように、とにかく走ることに集中した。

 通って来た島も走り抜け、みんながいるはずの島へと近づくと、凍った海上を動く見知った気配を見つけて足を止めた。
 相手はご老人。急に目の前に現れては驚かせてしまうため、急ぐ気持ちを抑えて距離を取って声をかける。

「トンジットさん」
「?おお、娘さん!彼らと一緒にいなかったからお礼も言えずにと思っていたが、こんなところに……なんでこんなところに?」

 やはりウソップは私との約束を守ってくれたんだなあ。彼に任せて正解だった。
 っていや、今はそれどころではない。

「トンジットさん、実はわたし、今し方貴方の村まで行って来たんです。どうやってなのかは、説明が少し面倒なので省略させていただきますが、貴方達の無事は伝えてあります。とても喜んでいらっしゃいましたよ」
「…おお、そうかそうか」
「はい。それで、トンジットさんがここにシェリーといるということは、このまま歩いて村へ戻れるということですね?村がある島の海まで凍ってましたから」
「ああ、そうなんじゃよ。わしもよく事情はわからないんじゃが、何やら海兵のお偉いさんが島におってな」
「海兵?え、あの、何人くらいいました?」
「ん?いや、一人じゃよ」

 海軍の偉い人?つまり将校クラスの人間が、部下も連れずにたった一人でこんな島に?一体なぜ…。

「それで、その人がわしが困っていたのを知って、こうして海に道を作ってくれてな」

 っていうか、海軍将校で海をも凍らせるような能力者って…。思い当たる人物は一人しかおらず、思わず頭を押さえた。

「…そこに、ルフィ達は?」
「ああ、一緒におった。そう言えばあの海兵の、何やら黒髪のねーちゃんに用があるとかなんとか言ってたな」

 ロビンに?というか、つまり島に偶然居合わせたとかではなく、一味を追ってこの島まで来たってことか。
 とにかく、もう本当にこんな所でのんびりしている場合ではなくなってしまった。

「そうなんですか。すいません、わたし、少し急がなければならないようなので、本来なら村までご一緒したいところなんですが…」
「いや、気にせんでくれ!君たちがいなければ、わしは今も竹の上で、シェリーもひとりぼっちにしたままだった。シェリーの仇も取ってもらって、あとはもう少し我慢するだけだと思っていたのに、まだしばらく会えないと思っていた仲間達と、家族ともう少しで会えるんじゃ。もうこれ以上何が欲しいものか…本当にありがとう」

 ケガをしてトンジットさんに引かれているシェリーも、何かお礼でも言っているようにヒヒンと鳴いた。
 わたし達にとっては大変な事態だけど、この人達にとっては間違いなく、運の良い出来事だったんだろう。

「良かったですね。…では、道中お気をつけて」
「ああ、お前さん達もな。航海の無事を祈っておる」

 にこやかに笑う二人に軽く頭を下げて別れを告げ、意識を仲間の待つ島へと向けた。
 まだ距離もいくらかある。もう走っている場合ではなかった。

「“瞬身の術”」

 術の発動と同時に、爆発的に上がった脚力で一気に島との距離を詰める。
 すぐに見えた島の沿岸に見えたのは、かつて見たことのある長身の男性が、氷の像と化したルフィに向けてその長い脚を振り上げている姿。
 何かを考えるより先に、わたしはその間に飛び込んだ。

「あららら、海から何か飛んでくると思ったら人じゃないの」
「ええ、わたし達の大事な船長が割られる寸前に見えたので。…ただ、ちょっと軌道が違ったみたいですが」
「まァな。ちょっと借りがあるんでね」

 どうやら彼は、今ルフィを割るつもりではなかったようだ。とは言え、彼がルフィをこんな姿にした張本人には違いなく、受け止めた脚に負けないよう、自分の掌に集めるチャクラの量を増やした。わたしのチャクラが途絶えれば、わたしだってルフィに違わぬ姿にされてしまう。

「君は凍らないねェ。覇気使えんの?」
「いえ、よくそう言われますが少し違うんですよ。詳しくはお教えできませんが」

 そう、悪魔の実にはこの人のように“自然ロギア系”と言われる、自然そのものに身体を変えられる能力があり、弱点を突く以外に基本的にはその能力者に攻撃は通用しない。ただ、その能力者に唯一対抗できる手段として、この世界には“覇気”と呼ばれるものがあるらしいのだ。
 わたしも詳しくは知らないが、その覇気というものをまとえば、例えば流動する“自然系”能力者をつかんだりもできるし、打撃系の攻撃も効くらしい。ただ、それを扱えるかはその人のセンスにもよるようだが。
 とにかく、その“覇気”がこの世界では唯一、悪魔の実に対抗できる手段とされている。だからわたしがこうして“自然系”の能力に対抗できることを無知な者はただ驚き、博識な者は覇気かと問う。
 しかしそれは、この世界では、唯一という話で、わたしが使うこの能力は異なる世界の能力。チャクラは気力と体力を練り合わせることにより発生するエネルギーのようなもので、基本的に忍はこのチャクラを体術や忍術に用いる。それが、どうやら悪魔の実の能力とは相性が良いらしい。いや、むしろ悪いのかな。まあそれはどっちでもいいけど、とにかくこのチャクラを放出しながら戦えば、能力者にも物理的な攻撃を当てられるし、逆にこちらはその能力から回避できるらしいのだ。ちなみに術はチャクラの塊のようなものだから、もちろん効果的に作用する。わたしも初めてそのことに気づいた時には驚いたものだ。

「冷てェなァ」
「ヒエヒエの実の能力者の貴方ほどでは」
「上手いこと言うねェ。…ていうか、君ヨウちゃんだろ」
「はい、お久しぶりですクザンさん。もうちゃんなんて歳でもなくなってしまいましたが。まさかこんなところで再会するなんて思いもしませんでした」
「あァ、おれもだよ」

 そこまでお互いに張っていた緊張の糸は、クザンさんが脚を引いたところで切れた。
 …ふう、助かった。実は強い能力者に対するほど、大量のチャクラを消費してしまう。先程海を渡ったばかりでのこのチャクラ消費は、正直厳しい。
 ただ、それをこの人に見せるのはあまり得策とは言えず、精一杯体裁を整える。それと念のため、ルフィの前には立ったままで。

「一味を追ってこの島に来たそうですね。なぜ、ロビンを追うんです?」
「そりゃ、あの女が危険だからだ。この一味にゃ上手いこと紛れ込んでるようだけどな」

 ロビンの過去に何やらあることは、何となくは知っていた。でもここ数日の彼女の様子を見ていれば、彼女が何か悪いことをしたようには思えなかった。何かきっと、理由があるんだ。まあ、その理由が、この人がロビンを追わなければならない理由なのだろうけど。

「…そういう言い方、わたしは好きじゃないです」
「そりゃァ悪かった。で、君はなぜこんな所にいるんだ、こんな海賊と一緒で。何でも屋はどうした」
「…知ってたんですね。海軍に素性は知られてないと思っていたんですが」
「いや、海軍で知られてるってんじゃないさ」
「ああ、なるほど。あの後もわたしのことを気にかけて下さってたんですね。それなら答えますが、何でも屋は廃業しました。いや、元々こちらが本業なので、あちらは副業だったんですけど」
「…は〜。つまり、君はこの海賊の一員だということでいいのか?」
「ええ、もう十年も前から」
「十年って…、おれと君が会うより前からじゃねェの」
「そうですよ」

 どうやら、わたしが何でも屋だったことは知っていても、わたしがルフィの仲間だったことは本当に知らなかったらしい。
 ポリポリ頭をかきながら、本当に嫌だというような溜め息を吐いている。

「は〜、なんでよりによって海賊なんだ。それじゃおれァ、君を捕まえなきゃならんじゃないの」
「ええ、そうなりますね。海軍大将“青雉”さん。わたし達を捕まえますか?」
「……いや。そこの男とうっかり一騎討ちの約束しちまって、今はできないことになってんだ。だからもう行くさ」
「そうですか」

 それは良かった、本当に。
 さすがルフィだ。彼のことだから意図があってという訳ではないのだろうけど、本能で危機を脱する手段を選び取っている。
 それにわたしは今、この人とは戦いたくはない。それは勝敗云々の話だけではなく、できればこの人とは戦いたくはない、という個人的な感情もある。
 それが表情に出たせいか、クザンさんはまったく嫌になると大きな溜め息を再び吐いた。

「……ったく、なんでこうなるんかねェ。こりゃ、本格的に君の淹れるコーヒー飲む機会がなくなっちまった」
「貴方が“青雉”としてわたしと会うのなら、そうなりますね。でももし、貴方が“クザンさん”としてわたしに会いに来てくれたというなら、その時はご馳走しますよ」
「おいおい…」
「だってわたしは海賊ですよ?コーヒーを飲みに来たって言ってる人の役職なんか、わたしには関係ない」
「!」
「それにわたしはクザンさんのことは好きなんです。だって貴方は、父を偲んで店に来てくれた。……そしてあの、海賊を捕まえてくれた」

 この人が店に顔を出してから少し経った頃、あの海賊が、船を襲い、父を刺したあの海賊が海軍に捕まったと、そう大きくはない新聞の記事を見つけた時は驚いたものだ。彼が海兵だと知ったのも、その時だった。
 クザンさんは仕事であいつを捕まえたのかもしれないけど、わたしはあいつを捕まえたのがクザンさんで本当に良かったと思ったんだ。
 父はもういない。あいつが捕まったってもう帰って来はしないし、これで亡くなった父が報われるとかそんなことも思わない。でも、それでも、父の店が好きだったと言ってくれたこの人が捕まえてくれたということは、他でもないわたしにとってはとても大きなことだった。
 だからきっと、この人がロビンと何か因縁があるとしても、青雉として海賊であるわたしと敵対することになろうと、きっとわたしがクザンさん自身のことを嫌いになることはないのだと思う。

「……はァ、お前らやっぱ親子だな。じゃあな」
「え?ええ、またいつかこの海のどこかで、クザンさん」
「最後に一つ忠告しとくがな、ニコ・ロビンという女は、いつか必ず君らの重過ぎる荷物になるぞ」

 そう言った彼は一度も振り返らず、ゆっくりとした足取りで去って行った。
 それを見送ってから膝をついて、大きく息を吐く。ちょっと、今のは流石に疲れたな。

「いたぞ!ルフィ!」
「……砕かれちゃいねェ…!って、ヨウか!」
「何?!大丈夫か?!どこかあいつにやられたのかい?!」

 背後から近づく気配でわかってはいたけれど、やはり直接会うと少し安心した。

「ゾロ、サンジ…良かった。わたしは大丈夫。ちょっと疲れただけ。みんなは船に?」
「あァ。…あいつはどうした?」
「よくわからないけど、何かの借りがあるからって、今回はケリつけないで帰ったよ。わたしも直接ここに駆けつけただけで詳しくはわからないんだけど、とりあえず、今は急いでルフィを」
「そうだな。メリーに運ぼう」

 まずはこのルフィをどうにかしなければ、手遅れになってしまっては意味がない。

「ゾロ、ルフィを支えててくれる?」
「わかった」

 すでに腰から短刀を抜いていたわたしを見てやることがわかったのか、ゾロは素早くルフィを支えてくれた。
 短刀にチャクラを流し、足元を地面ごと薄くえぐり取る。今は無理に身体を地面から引っ張るのは危険だ。

「よし、これでオーケーだね。船に急ごう」
「あァ、行くぞ」
「ヨウは大丈夫かい?キツイようなら手を貸すよ」
「ありがとう。でも大丈夫、これでも鍛えてるからね。さあ行こう」

 わたしが動き出したのを合図に、ゾロがルフィの頭を、サンジが足元を支えて船へと急ぎ走る。
 万が一落としたりすると大変なので、急ぎつつも慎重に走りながら、 少し気になっていたことを口にした。

「ルフィがあの場を引き受けたって聞いたけど、他のみんなは大丈夫なの?」
「……いや、ロビンちゃんが全身凍らされちまったんだ。今、ナミさんとチョッパー達が処置してる最中だ」
「そう…」

 そこからは三人とも黙って、ただただメリー目指して走った。
 こうも簡単に仲間を二人も失う可能性があることに、どこか背筋が冷えるような気持ちがするのは、きっとわたしだけではない。

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