03


「それでこの子がルフィが見たって子?」
「そうだ!」
「酷い……傷だらけだったのね」
「薬草でなんとか抑えて包帯で手当てしたんだ……。でも流した血が多すぎていつ目覚めるのか……」


ルフィが見つけたっつー海の中にいた女の子は、おれがよくナミさんとビビちゃんに作るようなミルクティーのような色素の薄い髪色をした女の子だった。

掴んだ腕は細くて、力加減を間違えたら折れてしまいそうな、海の中に傷だらけの格好でいた女の子。


「目が覚めたらいろいろ聞かなきゃダメね」


ナミさんのベッドに寝かされた彼女はチョッパーの手当で包帯だらけで、顔色が悪い。

「この子が目が覚めてもすぐ食べられるように身体に良いものを作ってくるよ」


長い睫毛に縁取られた瞳は何色をしているんだろう。






ピク、と指が動いた。
それは次第に手のひら全体に力が加わり、瞳も恐る恐ると光を取り入れ始めた。


「ナミ!」
「起きたの!?」
「大丈夫か!?」


女部屋には普段はいないルフィやチョッパーも海の中にいた彼女を心配し居座っている。
反応があったことで起きることに期待し、ルフィが椅子から飛び降りて彼女の顔を覗き込んだ。


次第に目を開き出した彼女はぼーっとしていたが、ルフィの顔を見た途端目を大きく見開き、寝かせていた身体を素早く起き上がらせ回転しベッドの上から大きく音を立てた降りた。


「ッ…!」
「うお!…おまえ大丈夫か?」
「い、いきなり起き上がっちゃダメだぞ!体にさわる!」


きょろきょろと部屋を見渡した彼女は扉を見つけた途端、一目散に駆け出して甲板に出た。

「ちょっと!」

甲板には彼女の様子を見ていたそれ以外の人員がいて、騒ぎを聞き違う扉からはサンジが料理器具を持って出てきていた。


「あ、お…………」


初めて発した言葉は掠れていて聞き取りずらい。
でもこの船にいる全員の視線が彼女に向けられていた。

彼女はドサッ、と崩れ落ち膝をつき、震えた手で口許を抑えた。


「あのっ、大丈夫ですか?」


慌てて駆け寄ったビビは崩れ落ちた彼女の両肩を支えた。

顔を上げた彼女の瞳は震えながらもしっかりとビビのことを視界に捉えている。


「ルフィさんがあなたを海の中で見つけて船に引き上げたの。あなた酷い怪我しているのよ。無理しないで?」


視線はキョロキョロと動き、向けられている視線に応えるように視線を返す。
1度瞳を閉じた彼女は静かに言った。


「ここはどこですか」

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