08


蒸気に飲まれ、吐き出された頃。
船内ではトラブルが起きていた。


「いやー、ホントにスワンスワン」
「スワンスワン……」


ゾロさんに無視しろ、と言われるが無視できない。無視できない格好をしているのだ。彼……彼女……?彼は。


顔には濃い化粧を施しておかま口調で喋り、白鳥が付いた様なコートを羽織そのコートにはおかま道(おかまウェイ)。

彼は恐らく蒸気の中で船同士がすれ違った際にメリー号の船首に出会い頭に飛びついてしまったという。
そしてその拍子に落ちた彼をルフィさん達は助けたのだ。


「あちしは悪魔の実食べたのよう、迎えの船が来るまで慌てても何だしい、余興代わりに見せてあげるわ

これがあちしの能力よーーう!!!」


この人も個性を持っているのかと変に納得してるところ突然右手でルフィさんの顔を押し出した。不意打ちの攻撃にルフィさんは受身を取れずにそのまま甲板に崩れ落ちる。船の人達が戦闘の体勢に入るのを横目に、私もと、相手をじっと見るが何かがおかしい。


「待ーーって待ーーって待ーーってよーーーう!!余興だって言ったじゃなーーいのよーーーっ!!!」


「な……!!?」
「顔も…声も……!」


「ジョーーーダンじゃなーーいわよーーう!!!」


おかまだった彼の前に立つルフィさんと見比べるが違いは着ていた服装だけだ。
そっくりすぎるその変貌に混乱を隠せない。しかし、白鳥のコートを着たルフィさんの顔をした彼は左手で自らの顔に触れた。

そうすると入れ替わったように元のオカマのような濃い化粧に戻る。

「これがあちしの食べた"マネマネの実"の能力よーーう!!!」

体格まで同じだったそれは、格好も同じだったらどちらか見分けがつかないほどそっくりだ。
元に戻った彼は右手でナミさんウソップさん、ゾロさんチョッパーさんの顔に触れていく。

これは後から厄介なことになると気付き私にも伸ばされた右手を避けるが、1度は空を切ったその右手は何度も私の顔を触ってこようとする。

「あーーーらっ、あなたしぶといわねー!」
「厄介な能力を持ってますね」
「……ふーーーん、まぁいいわ!」


もしその個性が応用出来て記憶出来たとした「さ〜ら〜に〜!メモリー機能つきぃっ!!」ら………やばいなって思ったんだけど……!


「過去に触れた顔は決して!忘れな〜い」

手を動かすごとに変わる顔はどれも姿形声も変わっていてきっと本人そっくりなのだろう。

迎えの船に気づいた彼は友情を語り、船を移って嵐のように帰っていたが最後に船にとっての爆弾を落としていく。


「あの、Mr.2って…?」
「あぁ…なまえは知らねェか。アラバスタはなさっきも言った通りクロコダイルっつー男が国を奪おうとしてるらしいが、そいつが操り所属してる組織がバロックワークスって言うんだ。チョッパーを仲間に入れる前にも一悶着あってな…その秘密結社組織のコードネームがMr.とMs.なんだ」

ウソップさんが冷や汗をかき腕を組みながら説明してくれる中、ビビさんが「メモリーの中に父の顔があった」と呟く。

王女のビビさんの父親と言ったらそれは国を統率する王様でしかなくて。
王様なんてそうそうに近づけない。メモリー機能にあるってことは近付いて右手で触れたということ。顔も声も体格も同じなら……なりすましてよからぬこともできる。


「敵に回したら厄介な相手よ…!あいつがこれから私達を敵と認識しちゃったら、化けられて私達仲間を信用出来なくなる」

……今巡り会えたのはラッキーだったかもしれない。

「そうか?」
「コイツの意見にゃ根拠はねェが、あいつにビビる必要はねェって点では正しい……対策が打てるだろ」


どっちが敵か分からなくなるぐらいニヒルに笑うゾロさんは相当悪い顔をしていた。

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