鳩羽つぐ
「つぐ、金魚すくい得意だよ」
そう豪語したわりに、あっけなくポイは破れてしまって、結局おまけの一匹を貰った。袋に入った金魚は、お祭りの橙色の光に照らされて幻想的な雰囲気だ。見とれていると、つぐちゃんからわたあめを買って帰ろうと手を引かれた。
「つぐのお家じゃ飼えないや。なまえさんは?」
帰り道、ふたつ買ったわたあめを口にしながら歩いていると、つぐちゃんは話しかけてきた。あいにく私の家にも金魚を飼うための水槽や餌などは持っていないから、ここは断るべきなのだろう。
「ううん、私の家もダメ」
「そっか、じゃあばいばいだね」
つぐちゃんは、ちょうど私たちが横切ろうとしていた川へ向けて袋を真っ逆さまにした。きらきらした金魚はお世辞にも綺麗とはいえない川の中へ。水面を激しく揺らして、遠くの方の祭りの喧騒と静かな夜が戻ってきた。この川にはたくさんの金魚が暮らしている。