「なまえどうしたの」
「ええ?」
「なんか上の空」
「そう、かなあ」
「うん」
「…さては部活遅れてきたことを根に持ってるの」
「んなわけあるか」
体育館はいつも通りで、黄金川君がいい意味でうざくて、青根が普通にブロックをしていた。二口は私に適当に仕事を頼んで、またコートの中に戻って行く。ボールの弾んだ音が、ぐわんぐわん頭の中に響く。ばしん、というスパイクを打つ音は耳の中で大きく肥大していく。
二「きゅーけー」
「お飲み物どおぞー」
黄「あざす!なまえさん!」
「今日も面倒くさいね黄金川くん」
黄「え」
二「当たり前じゃん」
「だよね」
黄「、え」
小「…二人揃うと、いつも三割増で黄金川可哀想になるよね」
作「それ、思います」
3年生が抜けてから二口は少しだけ変わったし、当たり前だけどチームも変わった。茂庭先輩が未だに私に心配してラインを送って来たりするけれど、多分チームはどうにかなっていくんだと思う。青根に少し風格が見えて、黄金川君が自覚をして、二口は大きくなって。私はそれを見守りながら、がんばれえーと叫んでそばに居ることしかできないけれど。
二「もうすぐ終わるから、待ってて」
「言われなくても待ってるけど」
二「いいから待ってて」
「はいはい」
でも二口は必要としてくれているから。コートの中にいれば、二口はいつもの何倍もきらきらしている。事実、プレーをしているみんなは汗を振り撒きながら自分を最大限に輝かせている。それは私にとってはすごく眩しくて、一つに熱中してる馬鹿みたいな少年臭さはかけがえのない光なんだと思う。そんなみんなのそばに私はいれるから、それは幸せなんだ。
二「やっぱりなんかあったでしょ」
「また聞くの?」
二「だってなんか気になるもん」
「じゃあ簡単に言うね」
二「うん」
「私、死んじゃうかも」
二「…え」
空は青すぎて少し胡散臭かった。私は一呼吸おいて二口を見た。眉を顰める二口が視界の中で歪んで、いけないと自分を奮いたたせる。
二「何言ってるの」
「ほんとに。わたしなにを言ってるだろ…っ」
わたしね、あと1ヶ月しか生きれないみたい。