二「そ。俺が見つけた」
「穴場スポットじゃん」
二「だろ?」
「センスがよろしい」
息苦しいだろ、と二口が私を外に出してくれた。と言ってももれなくギギギと音を立てる車椅子付きなので、二口が後ろから押してくれると二口は見えない。私としては隣にあなたがいる景色を見たいのだけれど、押してもらわないとこの身体は進まないので、わがままは程々にやめるしかなくて。
二「はいこれ」
「えーなにまたプレゼント」
二「そ」
「…え」
二「指輪」
「ちょちょ、え?」
二「おそろいしかも」
「二口くん何考えてるの」
二「俺さ、」
最近気づいたことは携帯フォルダに詰まった私がきらきらしていたことだ。どの写真にも無茶をした馬鹿らしい私がいて、それはまるで他人のようにも感じた。身体と心と頭が大分弱くなった。お箸を握る気力さえ無くなって、フォークを持つようになってしまった私は、多分そう長くないのだと思う。
二「結構おまえが思ってる以上におまえが好き」
「…告白、ですか」
二「だから死ぬな」
「は、」
二「ずっと俺と一緒にいろよ」
春がやってくると、街中が脈立つ音がする。だから、いつも自分がちっぽけに感じてしまう。二口はすごくらしくない台詞を吐いて、私は思わず距離を感じた。手の平の上で光る指輪が、霰もなく存在を放ち続けて私とはとてもじゃないけれど不釣り合いだ。
「な、に言って…」
二「まとめれば、なまえが好きだってことを言いたかった」
「そんな突然?」
二「突然」
「な、んで…!」
私は命の価値を探している。桜が咲くとみんな綺麗だ綺麗だ散るのが惜しいと口々に言って、そのあと緑の葉っぱが出てくると見向きもしなくなる。それと同様に、私死んじゃった後二口はお墓にも来なくなってしまうと思っている。こんなに、好きって言われているのに、死ぬことが怖くて怖すぎて、幸せな考えなんて出来なかった。
「死んじゃうよ」
二「…」
「わたし、二口の隣とかいれなくなる」
二「でも、」
「だけど私こんなに今嬉しいのおかしいね」
二「、なまえ」
「おかしい、変だよなんなんだろう」
出会ったのは入試の時。受験番号が隣だったからで、それから付き合ったのは入学して3ヶ月後にマネージャーし出してよく喋るようになったから。星を見に行ったこととか、合宿をしたこととか、それを抜け出してキスをしてイチャイチャしていたこととか全部振り返った。全部全部、思い出せばキリがないくらい私はあなたと恋をしていた。ただの高校生活の消費でしかないけれど、今の私にとってはそれは大きすぎる財産だから。
「幸せ」
二「何言ってんの」
「私も、負けないくらい二口が大好き」
2人で埋もれて死んじゃえればいいのにね。でも、これは運命。私の人生の末路はとっても呆気なくて、それなのにこんなに価値があるものに、あなたがしてくれたの。
「キスして」
二「、ん」
「誓のキスみたいに、」
何を誓うの?星になってあなたを見守ってるよって?そんなストーカーじみたことできないよ。だから、私の分まで幸せを知ってください。きらきらとした、私が嫉妬しちゃうくらい輝いた二口になってね。