東堂とあれこれ
「尽八ー」
「おうなまえ。どうかしたか」
「今日のクライマーの練習メニュー、フクに頼まれて聞きに来た」
「ああ、そうか。忙しい所すまんな」
尽八の机は廊下側にあるので、窓から顔を出すだけで話しが出来る。わざわざ教室に入ると変にクラスの目が気になって好きではないが、尽八に用がある時は入らなくて済んでとても楽だ。新開や後輩たちの教室に入るのは面倒でいつも気が滅入る。
「これをフクに渡しておいてくれ」
「はーい。受け取りました」
「助かる」
「相変わらず字綺麗だよね、尽八」
「そうか?書道をしていたせいだろう」
「ふうん・・・ん?このメニュー」
「なんだ?」
「配分ものすごいことになってるけど、書き間違えてない?」
「・・・!ほんとだ。これは死ぬな」
「だよね」
危ない危ないとメニューを書き直す尽八をぼんやりと眺める。普段口数の多い彼だが、どちらかというとこんな風に普通に澄ましている方が本性のような気がする。まあ、自信は常々たっぷりな方だけど、それには必ずそれを裏付ける確かな実力と努力があるので、一緒にいると純粋にすごいなあと思う。
「尽八ってさあ、」
「ん?なんだ」
「ほんと顔いいよね」
「、なんだ突然。当たり前のことを」
「あーそう言われると思った。思った上で言ってしまった」
「?どうかしたかなまえ」
「ちょっと今日はまだ頭があんまり回んないんだよね、」
「そうか」
尽八のクラスの次の授業は、古典らしい。机の上に綺麗に準備されたテキストも彼らしいとどうでもいいことが頭に浮かんでは消える。
「美形だとはかねがね女子には言われるが、」
「、ですよね」
「なまえに言われると特別嬉しいな」
「そう?」
「ああ。あまり言ってくれんからな、おまえは」
「まあ毎日会ってるしね」
「毎日言ってくれるともっといいがな!」
「気が向いたら言ってあげる。メニュー出来た?」
自分がかっこいいと分かっていて、そういうことをさらりというあたりやっぱり尽八はモテるのだろうなと思う。ファンクラブの子達の視線もあるのでそろそろ帰ろうとメニューを受け取る。しっかりと作られた練習メニューは、隼人とは文面の量からして違う。
「なまえ、今日の練習はどこにつくのだ?」
「うーん、隼人たちかな?タイム取らないといけないから」
「そうか。今日は一緒だと思ったのだが残念だ」
「あ、そういえば昨日裕介くんが電話してくんなって言ってたよ」
「えっ」
「嫌われる前にやめたら?じゃあねー」
「?!!まっ、まて!おまえ巻ちゃんとまだ連絡取ってるのか?!」
「・・・あ、(逃げよ)」
「逃げるな!!質問に答えろ!なまえ!」
「(なになに東堂様となまえちゃん痴話喧嘩?)」
「(修羅場?あれ)」
「(なにー?なまえ浮気ー?、)」
「・・・なんで、!」
周りの目線が完全に勘違いで溢れている気がしたので、うしろで喚く尽八を振り切って逃げた。やっぱりほかのクラスに行っていいことはない。
「(あー疲れた)」
荒「(おめー随分長かったじャない)」
「(色々あって。・・・やっぱ荒北と一緒にいるのが一番楽だ)」
荒「(なまえ、それどういう意味ィ?)」
「(違う教室は地獄)」
荒「(あぁ、そういうことね・・)」
荒北となまえは同じクラスなので、楽だーっていうオチです。福ちゃん、新開、東堂はみんなクラスが違います。新開と東堂は体育の時は合同クラスで、福ちゃんと荒北もまた同じくそんな感じです。