地雷は踏まない(その2)
「はあ・・・」
葦「なまえさん大丈夫ですか?なんか、きつそう・・・」
「?ああごめん。心配しないで」
葦「それも、俺が運びますよ」
「え、本当?・・じゃあお願いしちゃおっかな」
拓斗はいつもいい匂いがする。優しくて少し甘い、いかにも彼らしい匂いがして、それだけで苛立っている心は幾分と柔らぐ。
「拓斗は優しいね」
葦「え、そんなことないですよ〜?」
「同じ空気吸ってるだけで癒される」
葦「え、うん・・・?」
「あー今日は拓斗とずっと一緒にいたい・・・でもスプリンターのメニューを手伝うんだよなあ・・・うーん・・・しかもクライマーの中には尽八いるし・・・」
葦「なまえ、さん?」
煩わしい月一のそれを制御できる何かがそろそろ発売されてもいいと思う。今日は1日練習なので長丁場だとは覚悟していたが、荒北と尽八の何気ない喧嘩が耐えられないほどには、どうやら今日の私は沸点が低かったらしい。
「あーへこむね、」
葦「・・・なまえさん、こっち向いてください」
「?」
葦「これ、俺はお母さんに良くしてもらってたんですけど」
「うん、」
葦「そうやって気持ちがへこんだり疲れてる時は、人の熱が1番効くって」
倉庫に荷物を置いてドアから出る拓斗を見ると、あまりにもドアが低くすぎて、拓斗にとってはこの世界は全部狭苦しく感じるんだろうなと思う。向かい合うには私が随分と見上げないといけなくて、拓斗がより大きく感じる。
「ほう、」
葦「だから、頭をよしよししてあげるといいんですって〜」
「へ、へえー」
にこりと眉を下げて笑いながら私の頭に手を乗った拓斗の体温は、たしかに憂鬱な心には心地よかった。にしても手も大きいのだなと少し感心しながら、やはり癒しでしかない拓斗の熱がもっと欲しくなる。
「拓斗〜」
葦「はい?」
「抱きついていい?」
葦「え」
「というか、抱きしめられて」
葦「え、あひ?!」
吸い付くように拓斗のお腹に身をつけた。柔らかい匂いがさっきよりも鼻の中にたくさん入ってくる。ぎこちなく背中に添えられた腕は、より私に温もりを与えてくれる。これを愛しさと言わないなら他に何と言うのだろうか。
「ああ、今とってもいい」
葦「そうですか・・・?」
「温度がすごく、気持ちいい」
葦「それじゃあよかったです〜」
新「うんうん、じゃあそこらでそれおしまいな」
葦「わ、!新開さん〜!」
「やだ。拓斗から離れない、!」
葦「ちょ、っなまえさん?!」
新「!くっつきすぎだ、なまえ!」
その後隼人から引き剥がされるまで、たくさんたくさん拓斗の温もりを充電しました。
「(拓斗、癒し・・・)」
新「(おれも抱きしめてもいいんだぜ?)」
「(・・・、)」
新「(おっ、本当に食いついた?!)」「(・・いや、隼人はちょっとすけべだもん)」
泉「(!??すけべってなんだあああ)」