なんとなくわかる。これが何を求めたものなのかも、前を走っていくその子たちの精神状態も、すべてはなんとなく、わかってしまう。
「・・・大丈夫?」
「ひっ、!・・・っあ、」
「落ち着いて。わたしを見て」
「・・・、」
「こんなもん、かな」
不安そうに俯く誰かや、巨大ロボを前にして足を竦ませる誰かの絶望を吸収しては、安全なところへ誘導させた。雄英高校ヒーロー科の実技試験。実に派手で大掛かりである。この試験で見られているポイントは、プレゼントマイクの試験説明中に思惑を読み取って理解した。ヒーローになる前提の試験なのだ。戦闘と救出。倒せそうなロボットは適当に目くらましをしたところを捕獲していく。やはり大切なのは、要領の良さである。
「大体60ポイント・・・あと少しポイント取っておけば、」
「っどけェ!邪魔だ!!」
「っ!」
ちょうど、目の前にいた仮想敵ロボットに足を向けたところだった。後ろから浴びせられた罵声と鼻をかすめる硝煙のにおい。あっという間に、追い越された。そして派手な爆発音とともに、倒れていく目の前のロボット。座標が奪われてしまったことは、すぐ分かった。
「ちょ、っと。あぶなくないですか、あなた」
「はぁ?お前がちんたらしてただけだろォが」
「・・・というか、横取り」
「っぜェ!自業自得だバカ」
「、随分好戦的ね、」
ギラついた瞳は、あまり見た事のないタイプのものだった。強さを渇欲したような表情。彼なら、少し奪ったところで害は無さそうだ。
「んだテメェ、」
「口の利き方悪すぎません、っか!」
「!?っなにすん・・・!」
思惑を読み取り、これからの彼の動きを予測する。読んでみるに、彼は戦闘狂らしく、大方のポイントを荒稼ぎしているようだ。私に対しての警戒心が薄い、今ならいける。一瞬の隙をついて彼に近づき、そして個性を発動する。
「て、めェ、!」
「・・・横取りしたんだから、これくらい貰うよ?」
奪ってしまえば、ギラついた瞳は柔らかさを持ち、振りかざしていた手を下ろす。
「今のあいだに、もう少しポイント稼ごう・・・
さよなら爆発屋さん」
新たなロボへ駆け出した私を、彼が追いかけてことは無かった。実技試験が始まってからの派手な爆発音は、ずっと彼が発していたのだろうか。そんなことを考えていると、向こうのブロックでは巨大ロボットが誰かの手によって倒されたらしく、地響きがこちらにまで届いてきた。プレゼントマイクの大きな声が鳴り渡る。どうやら実技試験はお開きらしい。
「・・・もう少しポイント獲りたかったなー、」
落ちていたら洒落にならないからな。まあ、その時はその時だと自分を鼓舞しながらも、数ヶ月後にまたこの場に立てるようにと願わずにはいられなかった。