「〜個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は、人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるだと、心得て帰ってくださいな」
13号の言葉はまさにヒーローそのもので、単細胞どもの士気があがるのが分かる。隣で澄ました顔をしている知多紫那も、心無しかそんなふうに見えた。
「おい知多紫那」
「まだフルネームで呼ぶの?」
「おめぇが呼べっつったんだろーが」
「言ってないけど・・・」
「んじゃ、性悪女」
「は?、」
「てめぇには負けねえ」
「?それ、この前も聞いたような・・・」
「あン?!雑魚はすぐぶっ潰すわ!」
「・・・あっそ」
「───おまえら、ひとかたまりになって動くな、!」
空気が変わったのは一瞬。担任の言葉と表情で、ある程度のことは認識できた。空気が澱む。明らかな悪意がすぐそこまで来ていた。
「・・・っ!あれ、は」
「!おいおまえ!あれって」
「この前の、───死柄木弔、」
小せぇ口が微かに動いてその名前を呼ぶ。動揺したその女の表情を、初めて見た。生徒を守れ、と端的に伝えるとイレイザーヘッドは一瞬で敵陣に向かっていく。イレギュラーが過ぎる。英雄に入学してから何一つ予想通りの展開になることがない。狂わされている。あいつに、感情に、状況に。
13号は、知らない。クソ悪女があのヴィランについ最近奇襲を食らっていて、下手すりゃこいつが───連れてかれる可能性があるということを。
「おい、知多紫那」
「・・・なに」
「てめえ、俺から離れんな」
頭は冴えている。自分の中で優先事項もいくつか立てられる。この女は、渡してはいけない。咄嗟に掴んだクソ悪女の手は、引くほど冷たかった。