「モモちゃん、すごい」
「そんなことありませんわ。至って普通です」
「創造なんて、ステキな個性・・・」
「紫那さん、そんな目で見ないでください・・・!はずかし、っ!」
「(百ちゃんが見つめられて照れとる・・・)」

体力テストが終わった。私は6位で、まずまずといったところだった。着替えやテストの中でクラスのみんなとの会話を経て、嫌味な子が一人もいないことに感動している。とくに同性の子たちと言ったら優しくて、最初の頃のすっかり緊張も薄れていた。

「でも!紫那もすごかったよ!」
「うん。紫那のおかげで、すごくリラックスした状態で体力テスト受けれたし」
「ほんとう?私もみんなの悪影響な欲望取って動けたし、ウィンウィンね。助かった」
「紫那チャンの個性、とても珍しい個性だわ。私は蛙吹梅雨。梅雨ちゃんって呼んで、ケロ」
「うんよく言われる。よろしくね、梅雨ちゃん」
「紫那ちゃんとっても身軽っていうかそんな感じだったけど、なんかしてたの?」
「あー、うん。知り合いに警察な人がいるから簡単な体術とかを教えてもらってるというか、いろいろ鍛えられたというか」
「へえー!いいなあ」
「ヒーロー目指すには色んな引き出し持っておきたいよね、」
「そうやね!」

いろんな個性があることを改めて感じた。お茶子ちゃんの無重力や、響香ちゃんのイヤフォン、そして百ちゃんの創造。ヒーロー科であるから、強個性の集合体であることは理解していたがこれは相当である。

「お腹空いた、」
「私もお腹空いたあ〜」
「早く家に帰って休みたいですわ」
「わかる。入学初日から英雄飛ばしすぎ」
「英雄っていうか、ヒーロー科?」
「というか、A組?」
「そうね、ケロ」
「わたしもお腹ペコペコだ、」
「そうなんやー!そんなに細いのに、意外!」
「そりゃあ食べるよ。ご飯大好き」
「うわあ、すごく気が合いそう!」

嬉しそうに笑うお茶子ちゃんはとても可愛かった。更衣室を出ながら他愛もない会話が出来るほどには仲良くなれたことが今日の収穫だな、と思いながら教室までの道のりを女子ひとかたまりになって移動する。

「おい知多」
「はい」
「ちょっと話がある。職員室まで来てくれ」
「分かりました。・・・なんだろ。ごめんお茶子ちゃん、先行ってて!」
「あ、うん!分かった!行ってらっしゃい!」

入学早々呼び出しなんて少し不穏だ。寝袋に入ったままのヒモっぽい相澤先生の後ろ姿を追いながら、先生の思惑は何か考える。個性のことだろうか、と思いながら確証が持てないので個性で読み取ろうと試みたが

「おい不必要に個性使おうとするなよ」
「むむ・・・」

すぐ抹消されたので失敗した。


体力テスト、その後



あじさい