あんの不良娘が。
帰んなっつってるのに何で言うこと聞けねーんだ…
これだから最近の高校生は…
いや、まあ俺も真面目な方ではなかったけどね。うん。


帰りのHRを終えたあと、何クラス分ものテストの採点が待っている。
長い時間共に戦ってくれる相方も手に入ったし、やりますかね。



「あ、先生まだいたんですね!」


「あ?あぁ、志村弟か。なんだお前こそまだいたのか」


後ろから声をかけてきたのは志村の弟。HRはもう終わりテストも終わったことだし生徒はすぐに帰るものだがまだ何か用事でもあったのか。


「いや、戻ってきたんですよ!」


「は?なんでだよ、忘れ物か?だったらさっさと帰れよー」

俺はこのあと採点で忙しいんだ。
俺は国語準備室へと足を向ける。


「違いますよ!一応先生に伝えとこうと思って戻ってきたんですよ!」

「何をだよ。俺はこの後てめーらの採点で忙しいんだけど」



「高杉のことですよ!!」

新八が声を張って言う。
名前を聞いた途端テンションが更に下がった。


「高杉ィ?あいつがなんだよ、最近来ねーと思ったらまたなんかやらかしたのかあいつ…」


「さっきまで校門にいたんですよ。バイクも何台か止めてあって…で、たまたま聞こえちゃったんですけど夜兎校がどうとかって…その後すぐどっかに行っちゃいましたけど…だから何か問題が起こる前に知らせようかと思って戻ってきたんですよ」


焦りと少しの不安の表情を見せる。

「夜兎校ねェ…あそこは不良だらけだしなァ」

俺の言葉でさらに不安にさせてしまったのか新八は俯いてしまった。

「まぁとりあえず知らせてくれてサンキューな、お前も高杉やら夜兎校のやつらに絡まれる前に帰ろよ」

すると新八は違うと言い顔をあげる。

「夜兎校とは反対方面なので大丈夫ですよ。でも心配なのは神楽ちゃんで…」

「あいつの兄貴のことか?あいつんところはあのハゲが親なんだし平気だろ。実際まだ一緒に暮らしてるわけだしな。」

教師が親なら家に住んでる以上目は届くだろ。と付け加えると新八は下がった眉はそのままだったが少し和らいだのか、笑みを浮かべた。


「…それもそうですね。…じゃあ僕はもう帰ります。ひきとめてすみませんでした」

軽く頭を下げて来た道を戻っていく。神楽のこととなると姉貴並みに心配になる様でまだその向けられた背中は不安が残っているように見えた。


「おう。気ィつけて帰れよ」











国語準備室の扉を開ける。
机の上に山積みにされている答案はあえて無視をし隣にいちご牛乳を隣に置き、椅子に全体重を預ける。

ここの部屋の窓から校門は見える。
覗くと新八が歩いてるのが見えた。

高杉は確か始業式以来教室に顔を見せていない。生徒たちが噂している内容としてはやめたとされてるがまだうちの生徒のままだ。
問題を起こさないでいてくれていたから多少は楽だったがまた起こされると非常にめんどくさいことになるので担任としてもやめてほしいところだ。


「……採点すっか」

考えたところで止めることもできないし無駄なことなので、仕方なく机に向かった。





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