「駄目だ、このあたりにもエクスフィアはない……」

出入口付近で、何者かが右往左往していた。

「……ヴァーリ!」
「リーガル! そうか、外のガードシステムを破壊したのはお前だったのか」

リーガルと知り合いのようだ。その様子からすると何やら因縁がある様子。

「誰だ? あれは」
「あいつは……エクスフィアブローカーのヴァーリだ。何でこんな所に……」

有名人であるようだ。リーガルは剣呑な様子で叫ぶ。

「貴様、何故ここにいる! 教皇は何故お前を野放しにしているのだ。私との約束が違うではないか!」
「ハハハ! 教皇様が人殺しの罪人と本気で約束をなさると思ったか? お前こそ、コレットを連れてくるという約束を忘れて仲間に成り下がってるじゃねーか!」
「黙れ! 教皇が約束を果たさぬと言うのなら、私自ら、貴様を討つ!」
「冗談じゃねぇ! ズラかるぞ!」

ヴァーリは足早に逃げてしまった。

「リーガルさん。今の人は何ですか?」
「それに、人殺しの罪人って言ってたけど……」

リーガルはあっさりと認めた。

「私は人を殺めた罪で服役中の囚人だ。軽蔑してくれて構わん」
「何があったんだ?」
「言えば言い訳になる。私は罪を背負ったのだ。それでいい」

悪意があってした訳でなく、ただならぬことがあったのだろうということは見て取れた。

「……俺さ、俺のバカな行動で沢山の人を……殺しちまった。……あんたが何をしたのか知らないし、罪は消えないけど、苦しい時に、苦しいって言うぐらいはいいと思うよ」

イセリアのことを未だ悔やむロイド。

「あのね、上手く言えないけど人の心の中に神様はいるんだと思うの。だからリーガルさんが背負っている罪は、神様も一緒に背負ってくれてると思います。えっと、それだけです」

背負うのは1人だけではないというコレット。

「……人を殺したというのなら、私だって、大切な人を……コレットを、殺そうとしてた。あなたを責めたりする資格なんてないと思います」

コレットが死ぬと分かっていて、それが正しいと信じてその道に誘う手伝いをレイラはしていた。それは、コレットを殺そうとしていたのと同じだ。
ここにいる誰も、軽蔑なんてしない。話さないならそれでも構わない。

「……いずれ、話す機会が与えられればその時には……すまない……」

リーガルも、内心では苦しんでいるようだった。

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