異変

オゼットに戻ってくると、教皇騎士団と村人が話していた。
村人は戻ってきたロイドたちを見ると、指を指してくる。

「あいつらです! 手配書の連中です!」
「うへ〜、また教皇騎士団かよ!」
「何だってこいつら、あたしたちの行く先に先回りしてるんだい!」

皆苛立ちを顕にするが、教皇騎士団がこちらを見やった。

「これはこれはゼロス様。ご無事でしたか」

周囲を取り囲まれ、逃げ場がなくなる。

「くそ!」
「皆の者! コレットは生け捕りにせよ!」

教皇騎士団が武器を構える。皆、それに応戦していく。

「私から離れないで、コレット」
「う、うん……」
「……?」

後ろに庇っているコレットの顔色がよくない気がした。

「それにしてもどうして、コレットを連れて行こうと……?」

教皇がコレットを生け捕りにして何か得があるようには到底思えない。むしろ殺した方がテセアラにとって利益だ。
実際、メルトキオで顔を合わせた際は殺そうとしていたと聞いている。

「ごめんね……」

コレットはぎゅ、と自らの左肩を押さえた。
数は少なくないが、何とかその全員を退けた。

「何とか勝てたけど……」
「また私のせいだね。ごめんねみんな」
「そんなことはないでしょーよ。俺さまだって命を狙われてる。先生とジーニアスはハーフエルフだから追われてる。しいなは裏切り者のミズホの民。リーガルも裏切り者扱いだ」
「……うん。ありがとう」
「お前、何でも自分のせいだと思いすぎだぞ」
「ごめんね、ロイド」
「別に謝らなくても……」

突然、コレットがその場に蹲る。

「痛いっ……! くぅ……! うう!」
「コレット!? 先生! コレットが!」

リフィルがコレットを診る。

「熱があるわ。でも、この痛がりようは……?」
「これって……」

さっきもしきりに左肩を気にしていた。痛みの原因はそこだろうか。

「……どいて……私に……任せて下さい……」

いつの間にか、プレセアが来ていた。

「プレセア? え、ええ……」

リフィルは戸惑いながらもコレットから離れプレセアに委ねる。
レイラも疑問に思う、が――
皆プレセアとコレットに気を取られていて、誰も、レイラ自身も気付かなかった。レイラの後ろから何者かが近付いてきたことに。

「っ……!?」

首筋に強い痛みが走り、レイラの意識は遠のいていった――

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