閉ざされる

「レイラ、レイラッ!」

コレットがいくら呼びかけても項垂れたレイラは全く反応しない。
まるで、少し前までのコレットのように。

「そんな……どうして……?」

コレットにはその原因が分からない。

「おや、これは……」

ロディルは興味津々に、レイラの様子を診る。

「深い絶望、悲しみ、怒り、憎しみ、レイラ様のそういった負の感情にクルシスの輝石が過剰反応し、要の紋すら抑えて力を発揮させたと。これなら、要の紋を細工する手間が省けるというもの。ふぉっふぉっふぉっ」

ロディルの推察にコレットは言葉を失う。
レイラのエクスフィアはクルシスの輝石で、今のレイラは輝石に寄生され心を失っていると。ロディルの言葉が正しいのなら、信じるのなら、そういうことになる。

「そんな……」
「さて、どれほどの力があるのか、見させてもらうとしましょうか」

ロディルの言葉と共に、レイラを繋いでいた鎖が解ける。
何とかしてレイラの心を呼び戻せないのか、コレットは考えるが、分からない。何も出来ない。
その時、大きな地鳴りが聞こえてきた。

「きゃっ……!」
「地震か。こんな時に迷惑な」

空中に浮いているこの竜の巣では揺れは感じない。だが地鳴りの大きさから相当な規模のものだということは確かで、ただただ驚く。

「…………」

驚きをきっかけに、コレットは不安に苛まれる。
誰か、レイラだけでもここから連れ出して欲しい。
そう思っていたら、何かの駆動音が耳に届く。見上げると、何かが飛んでこちらに向かってきていた。
それはレアバードで、その上に乗っているのは――

「……みんな!」

確かに、ロイドたちだった。レアバードを見つけて、助けに来てくれたのだ。

「コレット!」

レアバードから飛び降りたロイドが、駆け寄ってきた。

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