コレットを中心として光が広がり、光は皆を飲み込もうとする。

「我々を喰らおうとするこの禍々しい光は……一体……」
「か……体が……動かないよ!」

体が押さえつけられたように動かせない。皆に動揺が走る。

「コレットだ! コレットの体内のマナがボクたちの方に逆流してきてるんだよ!」
「コレットの下にある魔法陣の影響だわ!」
「コレット! そこから逃げるんだ!」

ロイドの叫びに、コレットは悲痛な顔で首を横に振る。

「だめ……鎖で繋がれていて……動けないの」
「そんな……!」

コレットも、皆も、誰も動けない。このままマナに飲み込まれるしかない状況だ。

「ごめんね、みんな。私、世界を救うこともみんなを助けることもできない、中途半端な神子だったよね。ロディルの言う通り……罪深い神子なのかも」

そんな訳がない。苦しみを推して、プレセアが叫ぶ。

「……順序を取り違えたらだめです! あなたは悪くない。悪いのは……神子に犠牲を強いる……仕組みです!」

動けない筈の体の、力を最大にまで引き出して、コレットの元へ1歩、1歩と少しずつ、でも確実に歩み進める。

「いやあっ!」

斧を振り下ろし、コレットを縛っていたものは砕け散った。その反動でプレセアは気を失い倒れてしまう。

「プレセア! ……ありがとう」

コレットが魔法陣から離れ、光も収まる。
その次の瞬間、足場が大きく揺らぎ、崩壊し始めた。

「おい足場がやばいぞ!」
「早く逃げよう!」

急いでレアバードを出し、脱出の手筈を整える。その傍らでコレットがどうするか戸惑う。

「ロイド、私は……」
「コレット! 生きるんだ!」
「……う、うん」

ロイドの言葉に頷くコレット。

「……大丈夫。大丈夫だから。行こう」
「うん……レイラ、掴まってて」

コレットの手を取り、自ら飛んで皆に付いていくコレットに運ばれる形でレイラも脱出する。
空を移動しながら、遠目に崩れ落ちた飛竜の巣を見届ける。

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