確認

「さて、あなたの知ってることを話してもらいましょうか」
「…………」
「レイラ?」
「すみません、何から話したらいいのか……」

クルシスについて、話したいのは山々だが、レイラは大したことを知ってるわけではない。今、皆に必要そうな情報の心当たりもあるにはあるのだが。

「多分、私は人間だから、ユグドラシル様にはほとんど信用されてなかったと思います。だから大事な情報は与えず、何かあった時の捨て駒にするか……あるいは、都合よく使うために偽りの情報を与えられているかも」

間違った情報を話して余計な混乱を招くわけにはいかない。レイラが自信を持ってできることは、皆が手にした情報の裏付けくらいだ。

「なるほど、分かったわ。……それにしても、気になるわね。クルシスのほとんどがハーフエルフと聞いているけど、あなたは人間なのにクルシスに所属していた……」

そういえば、レイラも指摘されるまで全く意識したことはなかった。

「物心ついた頃にはクルシスにいたので……そのあたりは全く……」

リフィルは再び思案する。

「ロイドとあなたが一緒にいたのはいつ頃か覚えていて?」
「ええっと……」
「俺もはっきりとは覚えてないけど、多分、母さんが死んだくらいの時の筈だ。親父に拾われた頃にはもう離れ離れだったしな」
「成程ね……あなたたちのお母様のことがあった後、ディザイアンに連れさらわれて、それから何かあってクルシスで育てられることになったのかもしれないわね。理由は分からないけれど……」

流石のリフィルもお手上げであった。

「とりあえず、レイラのことはこれでいいでしょう」

レイラから何も出てこない以上、聞き続けるのは意味がないと判断し、話を終えた。

「本当にすみません……」
「いいのよ。もし何か気付いたことがあればその時にまた話しましょう」

リフィルの優しさに安心すると同時に、少しだけ罪悪感も湧く。
まだレイラはとんでもない秘密を抱えている。レイラとロイドの父のことだとか、すぐそこにクルシスの密偵がいることだとか。
クラトスのことは、今話した所で余計な混乱を招いてしまうだけだろうから。ただでさえテセアラの各地で妙な行動をしていたり、ロイドたちに助言めいたことを告げたりしていて真意が掴めないのだから。いつかは話さなくてはならないだろうけど、少なくとも今はその時期ではない。
そして、ゼロスのことは――

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