土の精霊
地の神殿の最奥、ノームのいる祭壇まで辿りついた。
激しい地鳴り、隆起する岩と共に土の精霊ノームが姿を現す。
「こいつがノームか!」
「ウンディーネとヴォルトが相対関係だったんだから、ノームの場合は……」
「イフリートと同時に目覚めさせればマナの流れを分断できるのか?」
ロイドの間違いにリフィルが怒鳴る。
「シルフです! ……もう……何度教えれば覚えてくれるのかしら……」
その様子を見たリーガルがぽつりと呟く。
「シルヴァラントの学力レベルは底辺にあわせているのだな」
「ま、まあな」
ロイドが照れたように頭を掻いた。そこにプレセアの鋭い一言が。
「ロイドさん、それ、褒められていません」
「なんだか、私まで恥ずかしくなってきた……」
レイラは頭が痛くなりそうな気分だ。
「じゃあ、やるよ!」
そんな皆をよそにしいなが祭壇に立つ。
「お前、召喚士だな? 俺はミトスと契約しちゃってるぞ」
「またミトスの名前が出てきたね。ミトスってすごいんだね〜」
ウンディーネ、ヴォルト、そしてこのノーム。今まで会った精霊の全てがミトスと契約を結んでいることにコレットは感心している。
「我はしいな。ノームがミトスとの契約を破棄し、我と契約することを望む」
「お前、堅っ苦しい喋り方するなぁ」
「う……だって、こういう風にしろって習ったんだよ」
気の抜けるような見た目といい、軽い喋りといい、しいなからしたら調子が狂う。
「ふーん。まあいいや。じゃあちょっともんでやるからよ。かかってこい!」
ノームが祭壇から飛び出し、着地と共にこちらに襲いかかってきた。
見た目に惑わされそうになるが、やはり精霊。相応の実力を持っている。
「行こう、プレセア!」
「はい!」
プレセアの斧に氷を纏わせ、氷を纏った斧を振るう。
「氷月翔閃!」
無事に勝つと、ノームがぼやく。
「お前ら汚ねぇな。9人がかりでボコにしやがって。ミトスは1人だったのによー」
皆苦笑するしかない。とはいえ勝ちは勝ちだ。契約は認めてくれる様子。
「まあいいや。誓いをたてやがれ!」
「何かやりにくいねぇ。
2つの世界がお互いを犠牲にしなくてもいい世界を作るために、あんたの力を貸しとくれ」
「んー、まあいいや。俺の力、姉ちゃんたちに貸してやる」
しいなを認めたノームは契約の証の指輪となり、彼女の指に収まる。
「……次はどうしますか?」
「確か、フラノールの近くに氷の精霊セルシウスがいると聞いたことがあるが?」
「よし、探してみるか」
セルシウスの影響が強く、年中雪に閉ざされた町フラノール。
レイラはまだ見ぬ雪国に少しだけ思いを馳せた。