共闘

「さあ? どうするのだ?」

手を組むか、組まないか、ユアンは問いかける。

「……わかった」

何の迷いもなく、ロイドは頷く。慎重なリフィルは勿論目を丸くした。

「信じるの? ロイド」
「……信じるさ。こいつは自分の裏切り者としての立場を明かした。それって、やばいことなんじゃないのか?」
「……私も信じる」

ユアンは立場を明かしてまで、ロイドたちと手を組みたいということ。それに応えない道理はない、というのがロイドとコレットの考えるところ。
レイラは少しだけ思案して、結論を導き出す。

「……まだ、手放しに信じることはできませんが……手を組んで損はない……と、思います」

不安は残るが、利害が一致する以上こちらに手出しすることもなくなるだろう。決して悪い話ではない。
そうして手を組む方向で話は纏まっていく。

「お前達はロディルの牧場へ向かうのだったな」
「ホントによく知ってるねぇ。こっちに密偵でも放ってるんじゃねぇのか」

それを言い放った張本人が実際にクルシスの密偵だというのに、白々しい。レイラはちらりとゼロスを見やった。

「ホントだよな。まあいいや。魔導砲ってのが完成する前にどうにかしたいんだ」
「それに、ロディルには……貸しがあります」

魔導砲のこと、これまでプレセアにしてきた仕打ち。牧場に行く理由は十分にありすぎた。

「牧場と魔導砲はシステムが連結している筈だ。管制室を無効化するといい」

牧場はともかく、ユアンが魔導砲のシステムにも通じてることにリフィルが疑念を口にする。まだ慎重だ。

「やけに……詳しいわね」
「我々もロディルの牧場に潜入する必要がある。奴の牧場の入口まで道案内をするが、どうする?」
「どうするもこうするもねぇよ。手を組むんだろ。当然頼むさ」

目的地が一緒で、手を組むなら、頼まないなんてことはない。

「あんたたちは何のために牧場へ向かうんだい?」
「マナを大いなる実りに照射するための準備だ。ああ、その準備のためにレアバードの空間転移装置が使えなくなっている。テセアラへ戻るのは牧場潜入の後まで待て。いいな」
「分かった」

精霊との契約は一旦中断。牧場潜入のために準備を整えなくては。

「準備ができたらボータに声を掛けろ。……後は頼むぞ、ボータ」
「分かりましたぞ」

ユアンはボータに後のことを託し、ボータも心得たのを確認して、その場から去って行った。

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