絶海牧場

元より牧場に潜入するつもりで準備は整えていたから、すぐにボータらに伴われて絶海牧場まで到着した。

「我々はここの魔導炉に用がある。ここをまっすぐ進めば牧場へ繋がっている筈だ」
「分かった」

ロイドたちは管制室。レネゲードは魔導炉。ここからは別行動だ。
レネゲードはさっさと内部に入ろうとして、ふとボータが足を止めた。

「そうだ。1つ言い忘れていた。お前達、行く先々の牧場を破壊しているようだが、魔導炉は大いなる実りの発芽に欠かせないのだ。ここは破壊するなよ」

それだけ言い残して彼らは内部へと。

「だってよ、リフィル」

しいながリフィルに視線を寄越す。
最初に爆破を提案し、それを実行した彼女は息を吐く。

「……別に意味なく破壊していた訳ではなくてよ」

ディザイアンの勢力を減退させるため。それはちゃんと分かっているが、今は目的が少し違う。

「やはり魔導砲を無力化させるには管制室に行く必要があるようだな」
「俺のカンでは、多分一番奥だな。ここだと最上階だぜ」
「さすがロイド〜!」
「もう何度もこういう所に来てるもんね。分かって当たり前だよね」
「…………」

ジーニアスの指摘にロイドは言葉に詰まる。

「よし。んじゃまー管制室とやらを探すか」

ここで立ち話していても仕方がない。

最上階を目指してエレベーターを利用し登ろうとするが、途中で止まってしまった。

「もっと上には行けないのか?」
「そうね……さっき見た限りだとこの牧場にあるエレベーターはココだけね。つまりディザイアンはこのエレベーターを使って更に上に行っているんだわ」
「ここから上に行く操作はロックされてるみたい……」

ざっとレイラが操作盤を見るが、動かせそうにない。これをどうにかして動かせるようにしなくてはならない。

「話は簡単ね」
「どうすんだ?」
「ディザイアンに動かしてもらえればいいのよ。動かさざるを得ないようにするってことね」

ディザイアンが動かしてロックを解除してくれれば、後はロイドたちも上がれるのは確かだ。

「だから、どうやって?」
「騒ぎを起こしましょう。そうね……収容されている人たちに、反乱でも起こしてもらいましょうか」
「で、その騒ぎでディザイアンたちがエレベーターを動かした所を狙うのか」

その作戦にしいなが呆れたように零す。

「……悪どいねぇ」
「お黙りなさい。手段を選んでいる場合?」
「ちょっと申し訳ない気もするけどやるか」

そうと決まれば人々が収容されているフロアへ。
牢の鍵を開けて、人々を解放したら、彼らは一目散に出口へと向かっていく。ディザイアンたちにも当然察知される。
レイラがエレベーターの扉の前に立っていると、扉が開いてディザイアンが駆け付けてきた。

「脱走の手引きをしたのは貴様だな!」

レイラに気を取られてる隙に、隠れていたロイドとコレットがディザイアンの背後から襲いかかる。

「ぐあっ」

不意打ちを食らってあっけなく彼らは気を失う。
これでエレベーターを動かせる。

「上手くいったねロイド! 早くエレベーターで最上階を目指さないとね」

収容された人たちが外に出られるように、という目的も足された。尚更急がなくてはならない。

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