悪足掻き
自らの体の異変にようやく気付いたロディルが絶句する。
「くぅ……何ということ……私の体が……体が……朽ち果てていく! 騙したな……プロネーマ……!」
息も絶え絶えに嘆いても、ロディルが命を落とすのも時間の問題だ。
ボロボロの体を引きずり、ロディルはある装置に手を伸ばす。
「しかしただでは死なんぞ。貴様たちも道連れだ!」
装置を動かしたと同時に、ロディルは息絶える。
そして、警報がけたたましく鳴り響く。
「いけない! 自爆装置だわ!」
すかさずその正体に気付くリフィル。
「爆破するなってボータさんが言ってたよね」
「くそっ! 止めるんだ!」
このままでは魔導炉も、皆の命も、何もかもが吹き飛んでしまう。
慌てて、皆装置を見やるが……
「無理です。私たちの中でこの機械を扱えるのはリフィルさんとレイラさんくらいしか……」
「俺さまたちはテセアラ生まれでも魔科学の仕組みなんざほとんど勉強しねぇからな」
魔科学の知識を学んでいたリフィルは元より、クルシスで相応の知識を叩き込まれたレイラも機械の操作そのものは可能だ。だが、それでも解除は困難を極めている。
「先生! レイラ!」
時折操作する手が止まるのに、ロイドが急かす。
「分かっています! でも2人では追いつかないわ!」
「せめてあと1人でも……!」
あまりに複雑な操作は、2人だけの解除を不可能にさせていた。
2人とも焦りながらもできる限りのことをしようと操作を続けていた時、管制室の扉が開かれる。
「我々が引き受けようぞ」
入ってたのはボータたちレネゲード。人員も充分で、技術も劣らぬ彼らならば、装置の解除も容易いであろう。
「お前達はそこの地上ゲートから外に出て脱出するのだ」
「ボータ! 無事だったのか!」
「そんなことは後でいい。早く外に出ろ。お前達がいては足手まといだ」
「……分かった」
彼らを置いていくのは気が引けたが、その気迫に気圧され、管制室から出ていく。