自分たちのために、命すら捨てた姿に、皆言葉を失う。
けど、感傷に浸る間もなく、

「皆さんっ! 後ろを!」

いち早く気付いたプレセアが声を上げた。
咄嗟に振り返ると、数ある檻が全て開き、何体もの飛竜がそこから出てきた。

「な……何だ!?」
「運搬用の飛竜でしょう。自爆システムの解除で檻が開いてしまったんだわ」

運搬用といえど、凶暴な生き物であることには変わりない。

「いかん! 奴ら来るぞ!」
「くそっ!」

襲ってくる彼らを撃退していく。
けど、どんどん飛竜が出てくる。

「これじゃあキリがないよ!」

ただでさえ皆、先ほどの戦いで疲弊している。飛竜を何体か倒すのが精一杯で、体力はもうほとんど残っていないのに。

「くそっ! 何てタフなんだ!」

運搬用だからか、体力方面に特化されている飛竜は、易々と落とされてくれない。

「これじゃあ、ボータさんのメッセージ、伝えられないよ……」

このままでは、全員ここで倒れてしまう。
不意に、ジーニアスは懐に入れていた笛の存在を思い出す。そして同時に脳裏に浮かんだ言葉。

――危険になったら、これを吹いて。何ができるか分からないけど、もしかしたら、助けられるかもしれないから

「……ミトスッ!」

ミトスのことを思い出して、ジーニアスは咄嗟に笛を取り出しメロディを奏でる。

まるで笛の音色に導かれたように、空から光弾が降り注ぎ、飛竜を倒す。

「な、何だ!?」

咄嗟に上を見上げると、金色の鳥が飛来して、ドームすらも容易く破る攻撃を放ち、残った飛竜も全て落とされた。

「今のは……精霊?」

一瞬感じたマナから、精霊に近いものをジーニアスは感じとった。どうしてこんな所に。

「ジーニアス! リフィルさん! みんな!」

不意に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「ミトスの声だ!」
「どうしてミトスがここに……」

パルマコスタにいる筈のミトスがここにいることを皆訝しむ。

「レアバードで脱出してください!」

ミトスは脱出を促す。確かに、ドームが破られた今ならレアバードで外に出られる。

「詮索は後にしましょう」
「ああ、そうだな……」

ミトスに促されるまま、皆はレアバードに乗り込み外へ飛び立った。

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