友情
飛び立った先には、レアバードに乗ったミトスが待っていた。
「ミトス! やっぱりミトス! でもどうして!? さっきの攻撃は? それにどうしてレアバードを……」
ジーニアスは興奮しながら次々に疑問をまくし立てる。ミトスはそれに申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめんなさい。ボク、やっぱり心配でみんなの後をつけてたんだよ。それで、レネゲードって人たちにお願いして、レアバードを貸してもらったんだ」
あまりにも大胆な行動だが、ミトスからしたらそれだけ不安だったのだろう。
「でも、あの物凄い攻撃は……?」
「あれは……ボクにも分からないよ。
ボクは笛が聞こえたからどうにかして中に入ろうと思って、必死でドームにファイアボールをぶつけただけなんだ。そうしたら、突然金色に輝く鳥がやってきて、ボクを助けてくれたんだよ」
しいなは思い当たる所があったのか、驚きを見せる。
「金色に輝く鳥? まさかアスカ?」
「まさか! 精霊がどうして……」
契約も成されていない精霊が助けてくれるなんて、そんなことがあるのだろうか。
「どういうことなんでしょうか」
「まさかと思うけど、ジーニアスが吹いた笛の音がアスカを呼んだとか?」
「ミトスの笛が?」
「どうかしら……。その笛自体を調べてみないと何とも言えないわね」
状況からすればロイドの考えも有り得なくはない。けど偶然かもしれないし、今の所ははっきりした結論は出せなかった。
「それよりみんな、休んだ方がよくない? パルマコスタに戻ろうよ。ボク、ニールさんに黙って出てきてしまったから、謝らないと……」
「そうだな……。詮索してても分からねぇし、とりあえず行くか」
「……ああ」
皆、先の戦闘でボロボロだ。休んで回復させることが今は何より優先すべきことだろう。
「ミトス、ありがとう!! キミが来てくれて本当に助かったよ! ミトスってすごいんだね!」
「う、ううん。そんなこと……」
ミトスは困惑するが、ジーニアスは目が輝いている。
「ボク、ミトスと友達になれてよかった!」
「……うん。ボクも……嬉しい」
まだ戸惑いが残るのか、少しだけ浮かない顔だ。