仇探し
ミトスを送り届けるため、テセアラ、アルテスタの家まで戻ってきた。
「じゃあ、ミトス。アルテスタさんと仲良くな」
「遊びに来てくれるよね?」
「もちろん」
旅の合間に顔を出すくらいなら何てことない。ジーニアスもミトスと会えるなら、来ない理由もないだろう。
「元気でな」
ミトスはプレセアを見やる。
「プレセアの妹の仇が見つかるように祈ってるよ」
「……ありがとう」
その言葉に反応したのは、リーガルであった。
「プレセアの妹の仇? それは一体どういうことだ?」
「そうか、リーガルには話してなかったな」
リーガルはアルタミラに入りたがらず、その後もゆっくり話す間がなかった。知らないのも無理はない。
「あー! あ、でもよ、そんな話をここでほじくり返さなくても……」
「……何、どうしたの? そんなに慌てて」
不自然に慌ててはぐらかそうとするゼロス。
その様子にレイラは訝しむ。彼なら何か心当たりがあってもおかしくないが、それにしても何故こうも慌てるのか。
「何言ってるんだよ! プレセアの妹は殺されたんだよ!」
ジーニアスが話を終えることをよしとしなかった。人の生死が関わる以上、白黒をはっきりさせる必要があるのは確かだ。レイラも言及するのをやめる。
「殺された?」
「はい。プレセアの妹さんはブライアンさんって貴族に仕えてたそうなんです。でもそのご主人様に……」
コレットの説明を聞いて、リーガルが驚いた顔をする。
「酷いやつさ! まだ年端もいかない子供を……殺すなんて!」
更に動揺を見せたリーガルは、プレセアに問いかける。
「妹……だと? そんな馬鹿な! プレセア。お前の妹の名は?」
「……アリシア……です」
その名を耳にすると、何かが腑に落ちたようにリーガルは落ち着きを取り戻した。
「……そうか」
「何か知ってるのか?」
「その殺人鬼に、心当たりがある」
「……本当ですか!」
「……私をアルタミラに連れて行ってくれ」
そう頼みを口にしたリーガルの顔は、何かを覚悟したように見えた。