緊急事態
「な、何だ!? 何があったんだ?」
アルタミラのレザレノ本社ロビーは、惨い状態であった。
誰がやったのか、警備員や社員が倒れている。明らかに、誰かが襲ってきた後だ。
「どうしたのだ」
「エクスフィアブローカーのヴァーリが……中へ……」
リーガルが駆け寄り問えば、警備員は息も絶え絶えに応える。そして、糸が切れたように動かなくなってしまった。
「ヴァーリ……許せない!」
「……くっ!」
「私たちも中に入ろう」
エレベーターで各階を見るが、ヴァーリは中々見つからない。
一番上、空中庭園で、ようやく見つけた。
「答えろ! トイズバレー鉱山の奥へ続くロックは何がキーワードになってるんだ!」
「……知らぬ」
「てめぇ……」
ジョルジュに対して詰め寄っている。すぐに助けなくては。
リーガルが近くに立ち、声を上げる。
「……私が教えてやる」
リーガルの姿を見たジョルジュは驚いた様子だ。
「リーガル様! 何故こちらに!」
「……丁度いい。会長自らお出ましか」
「会長……?」
ヴァーリの会長という言葉に、まさか、と思う。
「私の声紋と網膜で開く。無理にこじ開ければエクスフィア鉱山部分は崩落するだろう」
「そうか。ならリーガル! 俺たちに協力して扉を開けろ! エクスフィアが採掘できなけりゃこちとら商売上がったりだ」
「断る。それにロディルは死んだ。お前の卸すエクスフィアを大量に買い取る者はもういないのだ」
「バカが! ロディル様が死んでも俺には教皇様という後ろ盾がある。エクスフィアの買い手ならいくらでもいるんだよ!」
ぬけぬけと言ってのけるヴァーリに、プレセアが睨みつける。
「黙りなさい。罪のない人を殺したあなたを許すわけにはいきません」
レザレノの社員たちを殺しておきながら、協力なんて虫がよすぎる。追い詰めようとした時、煙幕が巻き起こる。
「くちなわ! あんた、この男の仲間だったのかい!」
教皇と繋がってる者同士とはいえ、彼はそこまでしいなが憎いのか。
「いずれ国王は死に教皇様の栄華となる。その時はレザレノ・カンパニーなど握りつぶしてやる!」
そう吐き捨てて、彼らは姿を眩ましてしまった。
先程までとは一転して、空中庭園に静寂が満ちた。