予感
翌朝、火の封印と思われる場所も無事判り、早速向かうこととなった。
「旧トリエット跡……ですか」
「そう。昔、イフリートの暴走により滅んだ場所よ。そこが火の封印の可能性が高いわ」
リフィルが地図を開き場所を指で示す。
砂漠というのは遮る物なく容赦なく降り注ぐ日差しに体力を奪われ、深く細かい砂に足を取られる過酷な環境。中々歩みも進まなかった。
「はぁ……はぁ……」
「コレット……はい、水」
レイラは人並み以上には体力があるため多少耐えられるも、体力の少ないコレットは消耗が激しかった。
「……魔物!」
ただでさえ過酷な場所なのに魔物も生息している。戦えないリフィルは勿論、体力を少しでも温存するためにコレットも後方に下がり、クラトスとレイラが前で迎え撃つ形になる。
「予想以上に厳しいわね」
「このあたりで一度休憩をとるとしよう」
こうして休み休み、だが確実に歩んで行った。
「……ッ!」
歩いていると突如、レイラが倒れかけた。転倒こそしなかったも、バランスを崩しその場に座り込んだ。
「レイラ!?」
「……何、今の……」
周りは勿論、本人も何が起きたのか分からない、と呆然としている。
何か、体が一瞬雷に当たって痺れたような、そんな感覚がした。勿論本当に雷に当たったわけではない。
「…………」
気のせい、と片付けようにも胸騒ぎがしてくる。
「……ごめん、コレット! トリエットまで引き返してもらえる?」
「え? レイラ、どうしたの?」
「私にも分からない。でも、何か嫌な感じがして……」
レイラが取り乱すなんて珍しい。コレットはただならぬ物を察し、来た道を引き返すことに了承した。
リフィルやクラトスはあまりいい顔をしなかったものの、コレットの決定に口は挟めない。