復興の道筋

シルヴァラントを飛ぶその途中、ルインのことが気になり様子を見に降り立った。
相変わらず、何も手を付けられていないまま。そんな中で1人、瓦礫を片そうと動く者がいた。

「ピエトロさん……」
「ロイドさん、神子様たちも……お久しぶりです。まさか、これほど酷いことになっているなんて……」

自分の行動が原因でルインがこうなったとなれば、ピエトロは重大な責任を感じているのだろう。

「でも、これくらいで挫けはしません。犠牲になった人のためにも必ず街を再建します」

ピエトロは強い決意を見せたが、またすぐ肩を落とした。

「しかし、それには人も……お金も何もかもが足りない」

街を復興させようとするなら、かなりの人員や資金が必要だ。集まらないのでは復興なんて夢のまた夢だ。
ロイドは皆に視線を投げる。当然、この中でそれを出すのに反対する者はいない。
言葉なき了承を受け取ったロイドは、ピエトロにあるものを渡した。

「こ、このお金は……」
「街の復興に俺たちも協力するよ」

直接手伝うことはできないが、こうしてお金を融通することはできる。

「そんな! 皆様からお金を受け取ることなどできません! このお金は、皆様の世界再生の旅にこそ使うのがふさわしいと……」

ピエトロは渡されたお金を返そうとするが、ロイドが諭す。

「世界を救うのも街を救うのも、救いたいって気持ちは一緒さ」
「ロイドさん……。ありがとうございます。このお金は大事に使わせて頂きます」

ピエトロも納得し、お金を受け取り頭を下げた。

「復興してほしいね、ルイン」
「ああ。だからさっきも、それにこれからも、復興に協力しなきゃな」

旅の合間合間にルインに寄り、寄付する。それだけでも復興に近づける筈だと。

「また滅ぼされたりしない世界にするために、俺たちも早く精霊との契約を進めよう」
「うん。頑張ろう」

ルインの様子を見て、改めて世界のために、という気持ちが強まる。

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