闘技場
「しいな! それに皆さんも……」
精霊研究所で、研究員の1人に快く応対される。
「みんなにちょっと頼みがあるんだけどいいかい? 実はシャドウの……」
精霊と契約して周っていること、シャドウと契約しようとしたら神殿に入れないことなど、事情を話したら、ブルーキャンドル――闇の力を打ち消す聖なる蝋燭が役に立つとの答えを得られた。古に存在したもので、復元したものを貸してもらうことに――なろうとした所で、別の研究員が口を挟む。
「おい! こいつらのせいでケイトが捕まったんだぞ。そんな奴らの力になるのか!」
「しかし、しいなの仲間だ」
知った名前が出てきたことで、気になって尋ねてみる。
「ケイト? ケイトがどうしたんだ?」
「ケイトが罪人を匿って逃した罪で処刑されるそうなんです」
その罪人、それは当然――
「俺たちのせいか……くそっ!」
「ロイド! ケイトさんを助けてあげようよ」
「ロイドさん……私……私も助けてあげたいと……思います」
自分たちのせいで処刑されることに皆責任を感じる。プレセアでさえも。
「そうだな。でもどうやって……」
監獄へ侵入するのは並大抵のことではない。ましてやロイドたちは指名手配されている。そんな場所に入ろうものならまずケイトどころかこちらが処刑されてしまう事態になろう。
「闘技場で行われている試合に出てはどうだ」
「闘技場〜? どうしてまた!」
「あれは元々、罪人と猛獣の戦いを観賞するために作られた施設だ。罪人を闘技場へ連行するため監獄へ繋がっている」
「……そういやあんたも檻の中にいたんだっけな」
リーガルならではの提案だった。きっと出たこともあるだろう。
「本当にケイトを助けてくれるのなら、俺が責任を持ってブルーキャンドルを用意してやる」
反対した研究員が、そう約束してくれた。
闘技場はちょうどミトス杯の真っ最中で、参加者を募っていた。
誰が出るかという話になり――
「私達は指名手配されているのだから、人目につくことは避けるべきなのだけれど……」
ゼロスの人徳のおかげで街中を歩いていて通報されるようなことはないが、闘技場ともなると話は変わる。
「この中で指名手配されていないのは……私か、レイラさんですね」
シルヴァラントのこととも神子を巡る陰謀とも無関係だったため見逃されたプレセア、そもそもその場にいなかったレイラ。出るならそのどちらか。
「……私が出る。プレセアは……ケイトさんを助けるの、抵抗があるんじゃないかな……」
「いいえ、そんなことはありません」
プレセアは心から、ケイトを助けたいと思っている。余計な気遣いだったか。
その後互いに出る出ないの問答を続けて、結局プレセアも指名手配されていないとはいえ顔は知られていること、単独での戦闘ならレイラの方が向いているだろうことでレイラが出るという結論に落ち着いた。
「頑張ってね、レイラ」
「ありがとう、コレット」
「俺さまが応援してやってもいいぜ〜?」
「……遠慮しとく」
「気を付けてな」
「任せて」
皆に見送られて、控室へ入っていった。