闇の精霊
何が起きたのか、元々そうなりやすい性質なのか、神殿のあちらこちらにシャドウの分体が散らばっていた。それらを集めて祭壇まで連れて行かねばシャドウと会うことすらできない。
集めたら、地下深くまで降り続け、祭壇まで送り届ける。祭壇に辿り着くと分体たちは一目散に祭壇へ集い、ひとつになり精霊の形を成す。
『……我……ミトスと契約……』
あたりの闇に溶け込んでしまいそうな、希薄な語り口。言いたいことは、これまでの経験からおおよそ分かる。
「ミトスか……。伝説の勇者と同じことしてるんだな、俺たち……」
残る精霊もあと少し。勇者のように全ての精霊と契約をするのも、あと一歩。
「我はしいな。シャドウがミトスとの契約を破棄し、我と契約することを望む」
『……戦え』
暗闇の中、黙々と、淡々と、態勢を整えようとするのが伺える。
「来ます!」
一切の光も掻き消してしまう闇に翻弄されながらも、勝負を決したのはこちら側。
『……誓いを……』
今までの精霊は何かと感想などを告げていたが、シャドウはそういうものは何もなく、こちらのすべきことのみを示してくる。
「何か事務的な奴だねぇ。えっと……2つの世界がお互いを犠牲にしなくてもいい世界を作るために、あんたの力を貸しとくれ」
『……承知』
契約の証も無事、しいなの手に。
「あとは光の精霊と契約すればまた1つ、マナの流れを分断できるな。よし、次の精霊も頼むぞ、しいな!」
「はいよ!」
残るはあと1つ。ロイドたちは気持ちを再び引き締めた。