光の精霊
後ろで詠唱を始めるルナ。それを止めようと駆け出す。
だが、そうはさせないと言わんばかりに横からアスカの攻撃が割って入る。
「うっ!」
そのせいでルナの元まで辿り着くのが一瞬遅れた。
「フォトン!」
ルナの魔術が発動する。近くにいたしいながそれを受けてしまう。
一度目はダメでもここから巻き返そう、とルナを斬りつける。
「やらせない、風迅剣!」
突きと風圧で、詠唱させる隙を与えさせない。
「幽幻翔符!」
レイラがそうしているうちに、しいなも持ち直し攻撃に参加する。
2人で攻撃していると、術を受けてからすかさず詠唱に入っていたゼロスの術が発動した。
「ヒールストリーム!」
レイラとしいなの周りを取り囲むサークルが2人の傷を癒やしてくれる。
「翔月双閃!」
「飛燕連脚!」
後ろで、プレセアとリーガルがアスカへ攻撃を加えた。
そうしてそれぞれ別れて攻撃していくが、向こうもただでやられない。
「リミテッド・レイ!」
ルナの技を受けてしまう。技の効力か、自分の術技が封じられてしまった。
「レイラッ! 獅吼旋破!」
咄嗟にロイドがルナを遠くに吹き飛ばした。
「グラビティ!」
ジーニアスの重力の魔術がすかさず発動し、すぐに立て直せないようにする。
「今、治しますから。……リキュペレート!」
その間にリフィルが素早く封印されていた術技を解く。
「リミュエレイヤー!」
とはいえ、レイラがまた攻撃に入れるまでどうしても間が空く。それを埋めるようにコレットがチャクラムを投げつけた。
「庇ってもらってばっかりで情けない……フリーズランサー!」
負けじと、レイラも魔術の詠唱をし放つ。
皆、力を尽くして戦った。これで、世界が救われると信じて。
やがて、先にルナが倒れ、アスカもとどめの段階へ。
「いくよ! 幻魔ッ」
しいなの札の力を纏い、
「空牙衝!」
レイラがその力で突きを放ってやる。
これで、アスカも倒れた。
全員、充足感に満ちた気持ちだった。
「あなたを認めましょう。さあ、誓いを立てなさい。私との契約に、何を誓うのです」
こちらに安心感をもたらすような、光にふさわしい凛とした声色で、ルナは誓いを訊ねる。
「大いなる実りの発芽と、2つの世界の真の再生を誓う」
この旅の、最後の目的をしいなは告げる。
「いいでしょう。私たちの力を契約者しいなに」
ルナとアスカはそれに頷き、しいなと契約を認める。
しいなの手に、契約の証が。これで、全ての楔が抜けた。
「……やったか!」
「しまった!」
こちらに駆けつけてきたユアンとクラトス。正反対の表情でそれを見届けていた。
その時だ。大地が、大きく揺らいだ。