合流
「魔神剣!」
「レイトラスト!」
向かってくる下っ端をレイラとコレットは近付くことなく離れて撃破する。
もう1人の下っ端はロイドとクラトスが。
ジーニアスは様子を見て臨機応変に魔術を放つ相手を変えていく。
そうして下っ端の方はすぐに片付き、レイラはボータへと近付いた。――が、
「岩砕陣!」
「……っ!」
ボータの攻撃を自らの剣で受け止めるレイラ。
だが、相手と腕力の差が大きすぎる。増してや向こうは大剣。こちらは細身の長剣。
腕の痺れを感じたレイラは咄嗟に後方へと下がった。
そのレイラと代わるように、ロイドが前へと出る。
「瞬迅剣!」
ロイドの突きにボータも身をひるませる。
「ライトニング!」
「ファイヤーボール!」
そこにレイラの雷の魔術とジーニアスの火の魔術が炸裂する。
だがボータもただではいかない。ロイドと距離を取ると詠唱を始め、流石の速度で詠唱を完成させる。
「ロックブレイク!」
「うわっ!」
突き出す岩にロイドが吹き飛ばされてしまう。
術発動の隙を突きクラトスがボータへと斬りかかる。
ボータも剣で防ごうとするが、クラトスの方が上で。ボータの剣は折られてしまい、役に立たない柄だけとなってしまった。
「ぬぅ……やはり貴様に対し私1人では荷が勝ちすぎたか……!」
打つ手がないと判断したボータは剣を捨て、別の部屋へと撤退していった。
ロイドが追おうとするも、扉にはロックがかかり追えなくなってしまった。
「……これは、確か……」
リフィルが来て、ボータの捨てた剣を拾い上げ、何かに気付いたように眺める。
「先生!」
「あぁ、ロイド。ジーニアスから色々聞いてるわ。この子が迷惑をかけたわね。ごめんなさい」
リフィルがジーニアスに目を向けると、ジーニアスではなくロイドが肩を落とした。
「俺の方こそ、ジーニアスまで巻き込んじゃって……ごめん」
「積もる話は後だ。ここにいつまでも留まるのはよくない」
「その通りだわ。今、脱出口を開いてきたの。行きましょう」
リフィルの先導の元、脱出口を目指す。
出口へ向かいながら、クラトスがレイラに声をかける。
「レイラ、腕を見せてみろ」
「はい」
レイラはすかさず左腕を出す。するとクラトスは呆れたようにレイラの右腕に視線を投げる。
「そっちではない」
「……気付いてましたか」
隠していたことに気付くクラトスの観察眼にレイラは肩をすくめた。
先程の戦いでレイラは右腕を傷めていた。ボータの攻撃を受け止めた反動で、今は剣が握れないのだ。
「無闇に前に出て傷を負って、今回のように魔術で対応できるとは限らん」
「はい……」
「傷を負ってからでは遅い。相手を見て剣か魔術、どれが有効か見極めることも重要だ」
「分かりました」
レイラは強く、頷いた。 この人の言葉は、忘れずに胸に刻まなければ。