因縁の清算

いつものように下水処理場を通り町へ侵入しようとした所。
思わぬ場面に立ち会ってしまった。

「これが代金だ」
「確かに。へへへ……」

何者かが取引をしていた。多額の代金をやり取りしている。

「後どれくらいで国王はくたばる?」
「この毒なら、後一ヶ月って所じゃねぇか」
「気の長い話だな」
「病死に見えるようにという注文だからな。ゆっくりだが確実に死ぬ毒だ。もう少し辛抱くださるよう教皇様にお伝えしてくれ」

話を盗み聞きして、実態が見えた。

「ははーん、成程。あの健康優良体の国王が病気だなんておかしいと思ったぜ」

教皇が地位を得るために、国王を毒殺しようとしているのだ。

「どうするの、ロイド」
「決まってる。ここで国王を助けておけば……」
「恩が売れるわね。行きましょう」
「……どうして素直に人助けって言えないのかねぇ」

恩を売って資料を見ることが可能になる。そうなればここで国王を助けない理由はない。
そうと決まれば、取引の現場に突撃した。

「何者だ」
「神子様登場〜」
「しまった、ゼロスかっ!」
「何だ?」

取引している人物の顔を見て、リーガルが激昂する。

「貴様は、ヴァーリか!」
「……!」

アリシアの死の原因となった因縁深い男。

「ちっ。国王暗殺の事実を知られては困るんだよ! ここでくたばりやがれ!」
「……黙れ!」
「……あなたは……許しません!」

プレセアが斧を取り出し、ヴァーリへ向かう。
ヴァーリも抵抗しようとしたが、所詮は単なる売買人。敵う筈もない。
斧で斬られ、倒れ伏す。

「冗談だろ……俺は……こんな所で死ぬのか……。あの腐れたアリシアのように……朽ちていくのか……」
「……アリシアを……侮辱しないで!」

アリシアを貶めて、ヴァーリは事切れた。
あれだけの因縁を作っておきながら、その最期はあまりにあっけないものだった。

「こいつが五聖刃ロディルと教皇を繋いでいたんだな」
「教皇には……くちなわも通じてる」
「テセアラのエクスフィアはヴァーリからロディルに流れ、クルシスの輝石に関する実験もロディルからヴァーリを通じて教皇へ流れていたのね」
「大方教皇の奴、協力する見返りに……国王の暗殺を持ちかけたに違いないな」
「不埒な……!」

今までの多くの事象が繋がっていく。
それらをもたらしていた点の1つであるロディルは死に、点を繋げていたヴァーリも今ここで殺した。
そして最後の点は。

「よし、教皇の奴を追い詰めようぜ」
「うん。それで、全ての因縁が片付く」

テセアラを渦巻く因縁に始末を付けなくては。

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