再出発
「おはよう、レイラ!」
「ん、おはよ……」
奇妙な寝言を言ってた割にすっきりした顔のコレットと、いつもと変わらない調子のレイラ。
それぞれ支度を済ませると、宿を出る。
「まだかな……」
宿の前の広場で待つも、ロイドだけが中々来ない。
……それなりの時間を待って、慌てた様子のロイドが宿から出てくる。呑気に寝坊したようだ。
そんなロイドにコレットを除いた面々は呆れた顔を見せた。
「ようやく、封印の解放に向かえるな」
「はい。がんばります!」
「レミエルの言っていた封印らしき物は、ここから南西の旧トリエット跡にあるらしいわ」
リフィルが改めて目的地を示すと、ロイドが拳を握り締める。
「うっしゃあ! 早速封印を拝みに行こうぜ!」
「はりきりすぎてバテないでよ……」
「大丈夫! 任しとけ!」
「最初から飛ばすと持たないよ。砂漠を舐めないで」
「平気だって!」
ジーニアスやレイラには、ロイドがバテる未来しか浮かばなかった。互いに顔を見合わせてやれやれ、と首を振る。
ロイドやジーニアスが充分な戦力となってくれていること、エクスフィアを装備したことでリフィルが戦闘に出られるようになったおかげで、当初の予定より随分楽な行程で歩みは進んでいた。
「昨日より断然、楽だね」
「そうなのか?」
「そうだよ。ロイドやジーニアスがいると、イセリアにいた時みたいに安心する」
レイラは知らず笑みを浮かべていた。
戦力的なこともあったが、何より精神的な意味で、ロイドの存在は大きかった。コレットにとっても――レイラにとっても。