時空剣士

救いの塔は崩壊したが、エターナルソードの安置されている土台付近は辛うじて残っていた。エターナルソードそのものには傷一つついていない。
オリジンに認められ、契約の指輪を手にしたロイドを、今度は拒絶することはなかった。
剣を引き抜く。すると剣はふたつに分かれたエネルギーとなり、マテリアルブレードに宿る。
ロイドが扱うのに最適な形で、姿を変えたのだ。

『新たなる資格を持つ者よ。我に何を望む?』
「俺たちをデリス・カーラーンへ運んでくれ。ミトスと大切な仲間のいる所へ!」
『承知した』

エターナルソードの力で、デリス・カーラーンへと運ばれる。

らしくなく、ロイドは浮かない顔をしている。エターナルソードを手にしてから。

「どうかしたの、ロイド?」
「エターナルソードって、人が扱える力を越えてる……。俺、感じるんだ。この剣の真の力……。この剣はその気になれば時をも越えられるんじゃないかって」
「時を……。世界を2つに引き裂くだけでも大事なのに……」

やろうと思えば、本当に自在に文字通り世界を書き換えることだってできてしまう。実際は恐らく、ほんの少しのことで思わぬ形に過去や未来が変わってしまい思うがままには制御し難いものなのだろう。そうでなければ、ミトスだって過去に戻ることで姉を救う方法を取っていただろう。

「ロイドは、時を越えようって思う?」
「いや、それだけは絶対にダメだ。やり直しがきかないから、頑張って生きるんだ。それを変えちゃダメなんだ」

この剣を手にした目的を絶対に忘れてはいけない。エターナルソードで歪められた世界を、エターナルソードで正常に戻す。そのために使うのだ。
仮に、時を越えるとしても同じだろう。時を越える存在が世界に危機をもたらしたらそれに対抗する。そうならない限りは、決して用いてはならない力。

「……本当に、途方もないね」

レイラには、想像もつかない。けどロイドの様子を見れば、本当に強い心を持って扱わなければならない力であると分かる。

ウィルガイアまで目と鼻の先、という所で、罠にかかってしまう。

「な、何だ!?」
「いけない、罠だわ!」

ロイドだけは難を逃れた。だか他の全員はどこかへと飛ばされて散り散りになってしまった。
デリスエンブレム。ミトスの城を塞ぐ鍵。少しだけ聞いていたが、その実態は全く知らなかった。だから――

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