火の封印

遺跡内の魔物を退け、奥の祭壇まで無事到着できた。

「ここも魔科学で作られているな。素晴らしい!」

もはやリフィルについては皆触れないことにした。
突如、祭壇から炎を纏った獣が現れる。

「これが封印の守護者……!」
「皆、怪我には気をつけて!」

各々武器を構えて応戦する。リフィルも、即座に戦闘へと意識を切り替えた。

「……アイシクル!」

レイラの氷の魔術が、

「アクアエッジ!」

ジーニアスの水の魔術が敵の弱点を突く。

「それっ……ピコハン!」
「虎牙破斬!」

コレットの投げたピコハンが敵に炸裂。更にはロイドの斬りが追撃する。

「コレットのピコハンでロイドが虎牙破斬を使う……なーんて、無理かな」
「こんな時に冗談言ってないで、戦ってよ!」
「いいアイデアだと思ったのに……」

レイラが軽口を叩けばジーニアスが怒り出す。

「うわっ!」
「きゃっ!」

敵の放ったイラプションにロイドとコレットが巻き込まれる。咄嗟のことで防御が間に合わなかったようだ。

『ファーストエイド!』

すかさずリフィルがコレットに、クラトスがロイドに癒しの術をかける。

「下がって! 瞬迅剣!」

とはいえ完全に癒せるわけではない。2人を後方に退避させ、レイラが前へ出る。
その一撃が決定打となったようで、相手は倒れた。

――再生の神子よ。祭壇に祈りを捧げよ。

「……はい!」

レミエルの声がその場に響き渡る。
コレットがそれに応じ、祭壇に上がる。

「大地を護り育む大いなる女神マーテルよ。御身の力をここに!」

コレットの祈りと共に祭壇にレミエルが降り立つ。

「我が娘コレットよ。見事な働きだった」
「ありがとうございます。……お父……さま……」
「封印を守護する者は倒れ、第一の封印は解かれた。程なくイフリートも目覚めよう。
クルシスの名の許、そなたに天使の力を与えよう」
「はい。ありがとうございます」

コレットに光が降り注ぐ。
その光と共に――翼が現れる。
桃色の光の翼。その形は蝶や花弁を連想させられる。

「天使への変化には苦しみが伴う。しかしそれも一夜のこと。耐えることだ」
「試練なのですね。分かりました」
「次の封印はここより遥か東。海を隔てた先にある。かの地の祭壇で、祈りを捧げよ」
「はい、レミエル様」

そう告げたレミエルは天へと消える。

――次の封印で待っている。再生の神子にして最愛の娘コレットよ。

そう、言い残して。

[ 23/226 ]
prev | next
戻る