天使への変化

「コレットに……羽が……!」

ロイドが驚いた声を上げる。

「うん。それにほら、しまえるんだよ」

そう言ったコレットの背中から羽が消える。

「すごーい! かっこいー!」
「ほらほら、見てー!」

ジーニアスとコレットが羽を出したりしまったり、羽ばたかせたりしてはしゃぐ。

「……もしかして……」

コレットの羽を見て、レイラの脳裏にふと、浮かんだ事案。
そんなはずがない。なのにその脳裏にはそうだという確信があって。

「レイラ、どうしたんだ? ボーっとして」
「え、あ、あぁ、羽なんてすごいなーって」

ついぼんやりしていた所を指摘されて適当に誤魔化す。何か話していたようだが完全に聞き逃していた。
そのまま皆は、外へと出ることになった。

遺跡から出た時に、異変は起きた。
歩いていたコレットが突然、倒れたのだ。

「コレット!?」

咄嗟にレイラが体を支えるが、立つのもやっとという状態である。

「コレット! 大丈夫か!?」
「へ……いき……」
「ちっとも平気そうじゃないよ! 顔色が真っ青だもん!
どうしよう、ボクが調子にのって羽を出しいれさせたから……」
「それは関係ないと思うけど……」

ジーニアスは本気でそれが原因だと思っているが、流石にそれが原因な筈がない。
すかさずリフィルが割って入る。

「バカなこと言ってないの! ほら、唇が紫色になってるわ。急いで街の医者に診せないと……」
「待ってください、今のコレットに砂漠は越えられません!」

医者に診せるのが確実だが、街に行くにはコレットがもたない。

「待て、動かすな」
「どうしてだよ」
「先ほどの天使の話を思い出せ。天使への変化には試練が伴うのだ。医者に診せるよりここで安静にした方がいい」

今のコレットの状態が試練ということに、コレットも同意する。

「うん……だいじょぶ。ホントに少し休めば平気……。迷惑かけてごめんね、みんな……」
「バーカ。いちいち謝るな。仕方ないだろ、急に天使って奴になっちまったんだから」
「うん。ごめんね……」
「……まあいいや。よし、日が暮れる前に野営の準備だ」

この日は、この場で野営となった。

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