死と決意

聖堂に近付くと、光が溢れだしているのが見えてくる。
ロイドたちは階段下からそれを見上げ、目を輝かせる。

「あの光はやっぱり聖堂から出てたんだな!」
「じゃあ、神託が下るんだ。コレットが再生の神子になるんだね!」
「さっきまでピンとこなかったけど、本当に神託が下ってるんだ……」

溢れ出る光に興奮する3人とは打って変わってコレットは「何だかすごく眩しいねぇ」とのんびりした様子である。これには流石のロイドも呆れていた。


「……なんか、聖堂が騒がしくない?」
「そういえば……」

武器と武器のぶつかる音、魔術を発動させる音。響いてくる音に皆表情を引き締める。
不意に、法衣を纏った初老の男が階段の上から転がり落ちてくる。

「祭司長様!」
「神子、様……ディザイアンらしき者が突然、聖堂に……」

コレットが抱き起こすも、祭司長は虫の息である。もはや助からないだろう。

「神子様を、お守り、できず……む、無念……」

言葉を繋ごうとするも、祭司長は糸が切れたように動かなくなってしまった。

「ダメだ、もう、息がない……」
「う、嘘でしょ……!?」

レイラは拳を握り締める。ロイドとジーニアスは肩を落としてしまった。
徐ろにコレットが立ち上がる。

「私、行くね」
「コレット! あそこにはディザイアンがいるんだよ!」
「うん。でも、行かないと。予言の日に神託を受けるのが私の役目だから」

コレットの今までにない気丈な態度は、彼女が神子であることをありありと表していた。

「私も行く。私、あなたの護衛だから。コレットを守るのが私の役目」

レイラは立ち上がり、聖堂の方を見据える。

「2人は戻って待って――」
「俺も行く。2人だけで行かせられるかよ!」

ロイドが階段を登ろうとするコレットたちを引き止める。

「ボクも行くよ! 姉さんのことが心配だもの」

その様子を見て慌てたようにジーニアスも立ち上がる。

「みんな……ありがと!」

隠していても不安なことは変わらなかったのだろう。皆の言葉を聞いたコレットが安心したように笑った。

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