ソダ島

「あれを術で止めればいいんだね」

間欠泉は熱湯、そのまま入ることはできない。
そこで出した案が、ジーニアスの氷の魔術で間欠泉を止め、その間に像を取るというものであった。

「ボクが作れる氷だと……目算になっちゃうけど大体30秒が限界だから」
「分かった」
「ロイド、気をつけてね。無理しちゃダメだよ」
「何が起こるか分からないんだから」
「私の癒しの術法でも限界があるのよ」
「お前は調子に乗りすぎる。……気をつけろ」

ロイドが各々に頷く。
ジーニアスも準備できたのを確認し、詠唱に入る。

「アイシクル!」

ジーニアスが放った魔術により間欠泉が凍りつく。氷を溶かそうと蒸気が所々吹き出ている。
そこに降りたロイド。岩場や氷づたいに跳び、スピリチュア像のある岩場まで辿り着く。
像を取り、皆の待つ所へと戻ろうとするも――

「うわっ!」

突如、急速に氷が溶けだし、取り残されたロイドは焦る。

「ロイド!」

コレットが翼を出して飛び出す。
ロイドの元まで来て、吹き出す熱湯や水蒸気からその身で庇いつつ手を取り、飛んで戻ってくる。

「2人とも、怪我は!?」
「こっちが焦ったよ。大丈夫?」

戻ってきた2人の様子を見ると異常はないようだ。

「俺もびっくりしたぜ。でもこの通り」

ロイドが苦笑しつつ像を見せる。

「像もいいけど、それでロイドが火傷とかしたら洒落にならないでしょ。全く……」
「本当だよ」

レイラとジーニアスは僅かに呆れた。

「もういいだろ。とにかく、あのジジイの所に戻ろうぜ」
「あれ、ちょっと待って。この看板……」

コレットがすぐ傍にある看板を眺める。

「どうかしたか? 神子」
「何だか、見覚えが……」

見つめながら、看板の裏にも回ると。

「あ、これ!」

見つけたものに歓喜の声を上げる。

「何とかって石版じゃないか」
「神託の石版だな」
「だから見覚えがあったんだぁ!」
「そうか! ここが水の封印なのだな!」

リフィルの目の色が変わる。
ロイドは肩を落としてぼやく。

「うえ〜。ついてねーの。スピリチュア像なんて必要なかったじゃねーか」
「危うく間欠泉に突っ込みかけるなんて、中々できない体験ができてよかったと思えばいいんじゃない?」
「なんか、それはそれで嫌だな」
「早く封印に入ろうよ。ほらコレット!」
「じゃあ、手を置くね。せ〜の!」

コレットが石版に手を置くと同時に岩場が崩れ洞穴ができ、そことの間に水のマナによる橋が現れる。

「くくく……早速調査に向かおう」
「調査じゃねぇだろ……」

リフィルが調子を出し、そんなリフィルを先頭に皆橋を渡り中へと入っていった。

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