別行動

庭の岩を動かし、警備に全く見つからず無事潜入に成功し、制御室まで戻ってこれた。
リフィルが機械を操作していく。

「とりあえず、この牧場の全景図を出しましょう」

慣れた手際のリフィルに皆一様に感心する。

「先生、すげー」
「へえ、こっちの人間にもまともに機械を使える奴がいるんだねぇ」
「こっちの人間……?」

つい漏らした言葉をしいなは慌てて取り繕う。

「あ、いや、こっちの話サ」

クヴァルのいる管制室に行くにはガードシステムの解除が必要。解除スイッチは管制室の反対側にあたる位置にある。
更には管制室へのルートはベルトコンベアに阻まれており、そちらも止める必要がある。
リフィルが機械を操作して調べていくうちに、警報が鳴る。

「まずいわね。メインコンピュータにアクセスしたのがバレたようだわ」
「どうするのロイド! すぐにディザイアンたち、とんでくるよ!」
「くっそ……」
「仕方ないわね。システムの解除班と侵入班に分かれましょう」

リフィルの提案にジーニアスが微妙な反応を見せる。

「えー、バラバラになるの?」
「それがよかろう。だが、私はクヴァルの方へ行かせてもらいたい」
「ボクだって!」
「あたしもそうさ」

口々に我こそはと皆挙手する。まずは落ち着いて話し合うことに。

「俺はクヴァルの所に行く。母さんの仇を討ちたいんだ」

ロイドが行くことに反対する者は誰もいない。むしろ当然のことだろう。

「クヴァルの方に、戦力を多めに分けるべきでしょうね」
「……とすると、クラトスさんはクヴァルの方に行く方がいいかな……ロイドもそれでいい?」
「ああ」

剣の腕の立つクラトスが向かうのは当然のこと。

「レイラにも着いてきてくれるか?」
「私に?」
「ああ」

クラトスほどでなくとも、剣の腕の立つのはレイラとて同じ。

「それじゃあ、あとは……」
「……先生、お願いしていいですか?」
「そうね。でも……」

残りの解除班のメンバーを見てリフィルが微妙な顔になる。治癒術を使えるメンバーがいないのは少々不安が残る。

「任せときな。隠密行動ならあたしたちの十八番サ」

しいな曰く、あまり敵に見つからないように気をつける、とのことだ。

「それじゃ、管制室で落ち合おう!」
「気をつけてね、ロイド」

それぞれ別れ、各々の目的地へ向かっていく。

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