憎悪と、そして

戦いの少し前に到着し、行く末を見守っていた別行動組が駆け寄ってくる。

「ショコラの居場所が分かったよ!」
「ホントか!」

この牧場に収容されていたパルマコスタの人によれば、一旦この場所に連れて行かれて検査を受けた後、イセリアの牧場へ収容されたそうだ。
朗報に浮き足立つ所に、コレットが何かに気付いた。

「危ない!」

まだ息のあったクヴァルが立ち上がり、ロイドを切り裂くべく杖を振り上げていた。
コレットが飛び出し、ロイドとクヴァルの間に立ちはだかる。

「コレット……!?」

そのまま振り下ろされた杖はコレットの背を切り裂いた。

「ロイド……だいじょぶ?」
「あ……ああ……だけど、お前……」
「私なら、だいじょぶ」

見るからに痛くて、苦しそうなのに、コレットの表情には一片の苦悶も現れていない。そのアンバランスさに、違和感が生まれる。

「コレット、こんなの大丈夫な筈が……」

レイラはコレットの傷を見て呟くが、コレットはただ笑みを浮かべるだけ。
クヴァルに対する怒りが沸き上がる。ロイドの母を死なせただけでなく、コレットをこう傷つけて。
それはロイドも同じ。

「……許さねぇ!」

重傷の体を引きずり逃げようとしてしいなに阻まれたクヴァル。その背を捉え、ロイドは剣を抜く。
そして、心臓のあたりを突き刺す。
そこに剣を抜いたクラトスが駆け出し、さらなる追い討ちをかけた。

「クラトス……この劣悪種がぁっ……!」
「その劣悪種の痛み……」

更に斬りつけ、

「存分に味わえ」

とどめを刺す。

「……地獄の業火でな!」

かつてないクラトスの怒りを受け、今度こそクヴァルはこと切れた。

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