水の精霊

「アクアエッジ!」
「っ!」

詠唱もなく、いきなり放たれた魔術に驚く。流石は精霊。今までと全く格が違う。

「ライトニング!」

ジーニアスの魔術が放たれる。水なら雷。戦いの定石だが、ウンディーネには有効打とならない。

「閃空裂破!」

いわば水そのもののウンディーネ。剣がよく効くかと言えば答えは否。
これまでとは全く違う戦いとなるのだった。

「散力符!」
「ね、しいな」

レイラは思いつきを咄嗟にしいなに耳打ちする。

「アンタ、それでいけるのかい?」
「できなかったら提案しないよ」
「そうかい!」

レイラが剣を構えて。しいながそこに符の力を纏わせる。

「斬魔、空牙衝!」

符の力の合わさった突きはウンディーネにも効いた。
ウンディーネは構えを解き、再び祭壇に降り立つ。しいなも、その前で向き合う。

「見事です。では誓いを立てなさい。私との契約に、何を誓うのですか」
「今、この瞬間にも苦しんでいる人がいる。その人たちを救うことを誓う」
「わかりました。私の力を契約者しいなに」

ウンディーネは優しく微笑み、光となり、契約の証の指輪になる。
指輪はしいなの指におさまり、契約は交わされた。

「やったね! しいな!」
「そうだね〜。すごいね、しいな〜!」

ジーニアスとコレットが賛辞すると、しいなは顔を赤くした。

「て、照れるじゃないか!」

レイラとロイドも顔を綻ばせる。

「でも、すごいことには変わりないよ」
「本当にすげぇよな! あ〜早くウンディーネを呼ぶところを見てぇなー!」

しいなを褒めちぎりながらも、皆は封印から出るべく歩き始めた。

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